滝と言えば崖の上から流れる落差がクローズアップされることが多いのですが、こちらの滝は落差だけで言えばこの程度。いやいや、魅力は別のところにあります。九州の名瀑を若いドギーと訪ねました。
熊本だけれど大分が近い
こちらの滝がある場所は熊本県と言っても、どちらかと言えば大分県に近い地点。最寄のインターチェンジは大分自動車道の九重(ここのえ)IC。別府や湯布院から「やまなみハイウェイ(大分県道・熊本県道11号別府一の宮線)」を経由してのアクセスもドライブが楽しめて良いと思います。
鍋ヶ滝公園
鍋ヶ滝は中谷美紀さん出演の「おーいお茶」のCMロケ地になり一躍知られる存在になりました。
以前は決して歩き易いとは言えない山道を下りて行った気がしますが、急増する観光客さんを受けてか近年滝への遊歩道が整備されました。そのことに伴って滝への入場料が発生するようになっています。
整備されて歩き易い滝へのアクセス路
今の時代どこでも…と言えば悲しいのですが、注意書きだらけにもなっています。
「マムシ注意」
湿気の溜まり易い谷は彼らの絶好の棲家。滝つぼへ行くことはマムシさんのおうちに行くと言った方が良い。各自注意を払うかどうしても遭遇したくない方はヘビが出にくい厳冬期に訪れると良いと思います。
いやー、ほんと歩き易くなりました。昔はもっと遠いところに車を停めて階段があったかなかったかのような急坂を下りた記憶があります。
鍋ヶ滝
田園地帯を流れる川が、突如ストンと流れ落ちることによって生まれた滝。この辺りの地層は元々陸地だった部分に阿蘇火山の火砕流堆積物が重なることで形成されています。現在川の水が流れる上部は硬いけれど元から存在した下部の地層は柔らかい。
ゆえに滝つぼは内側まで削られて洞窟のようになっています。
いわゆる「裏見の滝」
耳で聞いたり平仮名で見ると「うらみのたき」になるので「うらみ? 恨み?」となりますが、中(=滝の裏)から見ることができるので「裏見の滝」
鍋ヶ滝 の表裏
※熊本・大分地震以降は余震発生の可能性があり、立ち入り自粛が呼びかけられていました。
階段こそドギーの身体の負担を考えて抱っこして下りましたが、平坦地は自分で歩かせて滝へたどり着きました。
この場所に立っていると滝の飛沫(しぶき)が身体に降り注ぐ実感を得ることができます。この規模の滝でこれほど近くまで近寄れるものはそれほど多いわけではありません。天候にも恵まれて光・水共に清涼感たっぷりの場所をドギーと旅することができました。
鍋ヶ滝の水が流れて行く先
鍋ヶ滝がある小国町(おぐにまち)はあまり熊本感が無い場所に感じますが、この方が居らっしゃると此処が熊本県だという実感が湧いてきます。PR度高しです。他に熊本の雰囲気に乏しい点として、ここを流れる水は熊本方面には流れず、大分→福岡/佐賀へ向かう点を挙げることができます。大昔は川と舟が人々の移動や物流の主役なので、熊本に流れて行かないということはその方面との交易があまり行われないと言えます。
鍋ヶ滝を流れる水は下流で杖立川と合流。杖立温泉(つえたておんせん)付近で熊本→大分県と県が変わってから日田市まで流れたところで筑紫次郎(ちくしじろう)こと筑後川(ちくごがわ)と合流。筑後平野を流れながら有明海に注ぎます。
この滝から流れ落ちる水が数日の旅を経て筑後川昇開橋が架かる河口へ流れて行く。地図を開いて川の流れをたどっていくとその川がどこと繋がっているのか、どんな街を流れて行くのか。地図だけで沿川の景色を想像する旅もいかがでしょうか。