こちらは太平洋を見下ろす海沿いに立つ展望台。今は穏やかな海ですがひとたび大地震が起こるとこの光景は一変することでしょう。津波避難タワーに登って街を眺めつつ防災意識の向上に努めたいと思います。
久礼津波避難タワー
こちらは観光用展望台ではなく有事の際の防災避難タワー。
東日本大震災以降、太平洋側を中心に有事の際の津波避難タワーが建設されました。四国では徳島県南部や高知県沿岸で見ることができます。その多くが普段は入ることができない施設が多いのですが、こちら高知県中土佐町久礼にある津波避難タワーは常時開放されていて、階段かスロープを伝って昇り降りすることが出来ます。
2F
性質上1Fが建物全体の3分の2を占め、2F・3F併せて部分が3分の1と言った感じです。
潮風の強い海沿いの土地では防風・防潮面で松が植樹されることがよくありますが、こちらも同様の理由。久礼の松林はそれほど大規模なものではありませんが、港と人々の生活を護る大切な役目を担っています。
この街の中には久礼の人々の台所・大正町市場(たいしょうまちいちば)があります。ここで暮らす人々は海の恵みを誰よりも知っていますが、同時に海の恐ろしさを誰よりも知る人たちでもあります。
とりあえず最上階を目指して階段を上がります。
3F
ここで海抜20m。すぐそばが海なので正味の高さなので歩いて上がるには決して楽チンと言うわけではありません。けれどいざ事が起こった時は信じられない力が出て、一瞬で駆け上がれると思います。
実際街の人全員がここに避難できる広さがあるかと言うと、難しいのです。そこはある地域の人たちは山へ逃げる等、町では地区ごとに避難経路の周知が徹底されているようです。
3Fにはベンチがあり一休み。
ん?よく見ると、なんとまあ高知らしい注意喚起。禁煙はともかく「禁酒」とは。ここなら雨が当たらないので全天候型のおきゃく場(宴席)になります。それはいけません。
他のベンチにはお弁当を食べている方がいました。ゴミの持ち帰りについてお願いがありましたが通常の飲食はOKのようです。それこそ大正町市場(たいしょうまちいちば)で弁当・お惣菜を買ってきてここで食べると良さそう。眺めが良いのでなんでも美味しく召し上がることができそうです。
非常食の備蓄庫
津波避難タワーらしく3Fにはその機能を兼ね備えるための設備が設けられています。
窓から中が少し見えるのはアルファ米。非常食が備蓄されています。アルファ米の何が良いって「軽い」。これに尽きます。一昔前の登山は白米や缶詰等が主流だったことを考えると、画期的な軽さになりました。お湯を入れたらふっくらごはんの出来上がり(水でも可能)。日持ちするので非常食として自宅に備蓄するのははもちろん個人的には登山で活用しています。自宅で食べても感動はあまり無いと思いますが、一日山を歩いて夕方食べるごはんの美味しい事。パッケージを見ると美味しかった思い出しか浮かびません。
登山や災害時には強い味方になるアルファ米ですがここで使う日が来ない事を願います。
防災教育の場として
さきほどは2F。3Fから改めて街を見渡してみると家屋の見え方が少し違います。土佐の家らしく瓦屋根に白い漆喰壁の家が目立ちます。
瓦は強風で屋根が飛ばされないための工夫ですが、漆喰壁は吹き付ける潮風から家を守る工夫。理由は様々ありますが潮風は避けて通れないもの。元より補修が容易な素材を用いているというのが一因です。
旅犬ドギーに大海原を見せて津波の話を聞かせました。旅犬ではあるけれどうちの子でもあります。我が家なりの情操教育の場とさせて頂きました。