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2021-01-30

海と街を眺める山上の絶景スポット<便石山・象の背/三重県紀北町>


登山犬ドギーの古道歩きのち登山。山の上にせりだした絶景スポットを目指します。

その色と形状から「象の背(ぞうのせ)」と呼ばれる大きな岩の上にて

 

便石山登山

便石山(びんしやま/599m、三重県紀北町)

便石山と書いて「びんしやま」と読みます。標高はそれほど高いわけでは無く「日本●●名山」のように名山として列挙される山ではありません。けれどこの山にしかない魅力があります。

丸太が並べられた階段がずっと続く登山道

その魅力を体感するために山頂を目指します。アクセスは主には二通り。今回は熊野古道伊勢路の峠・馬越峠(まごせとうげ)から分岐して頂上を目指すルート。

実は犬のおさんぽ向きな古道歩き<馬越峠/三重県尾鷲市・紀北町>

丸太階段には登山道流出保護の意味がある

山自体の高さは大したことないのですが、頂上へのルートは階段一辺倒。これがとてもつらい。道に迷う心配や取り立てて急坂があるわけではありませんが、その退屈さと言いましょうか。この時点では景色が見えるわけでもないので、便石山登山は修行のような道のりです。

脚が短いドギーにとって階段は歓迎ではなく、段差で身体を悪くしてしまないか心配。地面に置いて写真だけで撮って、あとは山頂までダッコ移動。

飼主に+5kg

ここまで特に見所も無く頂上に到着

登山口10:54
馬越峠11:34/11:35 ※40分
便石山頂上12:54 ※1時間19分

登山口から峠までより、峠から山頂までのほうが明らかにしんどかったのですが、コースタイムを参考にして見るとほぼ倍の時間がかかっていることがわかりました。きついわけです。

 

象の背

頂上は林の中で展望は全く無いけれど…

冒頭の通り便石山の魅力は登頂だけではありません。その先の地点に大きな魅力があります。その場所の名前は「象の背(ぞうのせ)」

海に向かってせりだした大きな岩

山頂から象の背へは1分もかかりません。形状・質感・灰色。なるほど象の背中です。

180度展望!

便石山の魅力は象の背で、象の背の魅力が絶景。真下に馬越峠を見る形で左に紀北町(きほくちょう、旧海山町)。右に尾鷲市(おわせし)が広がっています。

 

象の背北側の景色

銚子川と船津川(ふなつがわ)の河口部に開けた旧・海山町

中央下…国道42号
広い河原…銚子川(ちょうしがわ)
中央の水面…白石湖(しらいしこ)
右・奥の水面…太平洋

後者の河口付近にある汽水湖が白石湖。汽水とは淡水と海水が混ざった塩分濃度の低い水域。右の水域はまんま海なので、この絶妙な「塩加減」は大台山系の川の恵みそのもの。

そのような塩分濃度が低い水域を好むのが「牡蠣」
白石湖で養殖が行われている牡蠣は「渡利かき(わたりかき)」の名前で出荷されますが、その量は三重県全体の牡蠣出荷量の1%にも満たない僅かな量。小ぶりで味が濃いとされる渡利かきは三重県外はもちろん、県内でも知る人ぞ知る牡蠣のようで「幻の牡蠣」と呼ばれています。

参考記事
三重県紀北町観光協会公式サイト「きほくたび」→https://kihoku-kanko.com/feature/7385/

 

象の背南側の景色

街のシンボルだった火力発電所の煙突

紀伊半島東岸、湾に開けた街の様子が山の上からよく分かります。

発電所の名前は「尾鷲三田火力発電所(おわせみたはつでんしょ)」
高さ230mの煙突が尾鷲のランドマークにもなっていましたが、現在は発電所自体がその役目を終え煙突は解体されました。訪問時はまだ発電所在りし時代。かつての尾鷲の風景として貴重なものになりました。

発電所背後の山なみが「西國一の難所」と謳われた「八鬼山越え(やきやまごえ)」
難所と知られていても、伊勢から熊野へ向かう旅人さんたちはここを越えるしか道はありませんでした。尾鷲から南は熊野古道伊勢路の中で最も険しい区間です。

象の背南側・八鬼山越えと馬越峠に囲まれた湾に開けた街が尾鷲

象の背からは航空写真のように鮮明に俯瞰することができます。街の外側を大回りするように鉄道が敷設されていますが、全国各地でよくある鉄道忌避説が尾鷲にも有ったのでしょうか。

鉄道忌避説(てつどうきひせつ)とは、鉄道黎明期は蒸気機関車→蒸気機関車は煙を吐く→その煤煙で病気になる・家が火事になると言った具合。そのため全国様々な街で鉄道敷設の反対運動が起きています。四国で言えば、四都市の玄関駅の中で市街地中心部に駅があるのは徳島駅だけです。

尾鷲の場合は、こうして眺めてみると市街地に丘があるので、それを避けて鉄道を通したのかもしれません。もしくは前後に山越えがあるので、それを越えるための加速線として長めに距離が取られているとも言えます。それか既に市街地が形成されていて、広大な敷地を要する鉄道が入る余地が無かった。
どれも考えられ得る理由で、一概に蒸気機関車の煙が嫌われて鉄道が街の外に追いやられたわけではなさそうです。

 

絶景を楽しめない飼主

ドギーの飼い主は高いところが苦手です

象の背は見ての通りの岩質なので、靴が滑ってはいけないと裸足でトライ。それで到達できるのはここまで。本当は先端まで行って立って大の字になるのが好レポーターの仕事と言えるのでしょうが、先っちょへ行くのもここで立つのも恐怖です。
ドギーをだっこしてしばらくこの場所に居たのですが、彼は登山の疲れからかひなたぼっこ。象の背上で安定のお昼寝タイムでした。

 

下山ルート

象の背・便石山からの下山

下山ルートは元来た馬越峠へ下りず、銚子川へ下りることにします。こちらの方が距離が短いのですが、馬越峠ルートから来る道以上にひたっすら階段です。距離に釣られて銚子川ルートを選択すると登山が退屈かもしれません。

(尾鷲側)登山口→馬越峠→便石山・象の背
(海山側)登山口→馬越峠→便石山・象の背 ※今回の登り
(海山側)銚子川登山口→便石山・象の背 ※今回の下り

 

銚子川

山を下りてこれから銚子川ウォーク

銚子川と言えばテレビ放送で特集が行われるほどの実力を持った清流ですが、時期的なものもあってか川の水が少ないです。紀勢自動車道の向こうに歩行者用の吊り橋が見えているので、そちらへ進んで橋の上から清流を見下ろしたいと思います。

高所恐怖症は色々と注文がある

*「高いところがこわいんだったら、吊り橋は大丈夫?」

この吊り橋だったら大丈夫です。怖い要素を考えた時に足元の隙間、欄干の有無、揺れるかどうか、そもそもの高さと言ったところでしょうか。それからするとこちらの橋は、高所恐怖症の人にとっても「こわくない吊り橋」です。

透き通った銚子川の水

川の水が少ない時期だったのでこれが銚子川の実力かと言うと、その何分の一だと思います。そして清流はある程度の深さとそこで暮らす生物が居てこそ。今回は古道と登山のルートで橋を渡っただけなので、銚子川の真髄を知るために、改めてここを旅したいと思いました。

NHK・見えないものが見える川 奇跡の清流 銚子川→https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20181111

 

便石山を望む種まき権兵衛の里

銚子川と象の背がある便石山

吊り橋を渡って銚子川の左岸にチェンジ。そこを歩いてくると「種まき権兵衛の里」と呼ばれる広場があります。

馬越峠で伊勢路を行き交う旅人たちを襲う大蛇を鉄砲で退治したけれど、その毒にやられて死んでしまった権兵衛さんの話。その権兵衛さんが暮らしていたのが便石山を望むこの場所だったそうです。
権兵衛さんが種子を蒔けば鳥がやってきてそれを食べてしまう。その滑稽さが村人たちからいつも笑われる存在だったようです。けれど鉄砲の腕前は一級品で、困っている人々のために立ち上がり、自分の命と引き換えに大蛇をやっつけたのが権兵衛さん。思い出せないのですが、何かのマンガにそんな場面があったような。

それはさておき、この場所から便石山を眺めると山の形がよく分かります。登る時は左から山頂に向かって延びる稜線を歩いたんだなあと。

 

紀勢本線の踏切がゴールテープ

ローカル線の趣がある踏切

国道42号沿いに停めてある自家用車を回収すると、今回の登山旅が完了します。その最後に現れるのが紀勢本線の踏切。

遮断機のたもとには「119」と記されたキロポストが立っている

亀山駅-和歌山市駅/384.2km
の紀勢本線のうち、起点の亀山から119km来たのがこの地点であることを知らせています。日本最大の半島・紀伊半島をぐるっと一周する紀勢本線ですが、尾鷲辺りではその3分の1も来ていないことになります。以前は名古屋から関西本線・紀勢本線周りで大阪(天王寺)行きという紀勢本線を全走する列車もありましたが、現在は存在しません。

現代に列車を乗り継いで紀勢本線を完乗することができるのかどうか調べてみましたが、それほど難易度は高くないようです。各駅停車だけなら午前の早いうちに出発すると。特急列車を利用するのであれば、午後でも早い時間の出発であれば途中の新宮駅乗換で全線乗り通すことができます。
本線とは名乗りながらも大部分が海あり山ありのローカル線の趣。列車旅としてとても魅力的なのが紀勢本線です。

 

便石山・象の背

 

旅の期間

平成29年4月


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