南国薩摩に本家富士山に勝るとも劣らない正円錐形の秀峰があります。登山も立派な旅。旅犬ドギーを連れて、この山の頂きを目指します。
2合目から登山開始
お山が錦江湾(きんこうわん)の入口にあることから、かつては「海門」「開門」とも記された「開聞岳(かいもんだけ)」
実質的な登山口は、開門山麓ふれあい公園内にある2合目(標高約160m)。すぐそばに海(=海抜0m)があるお山ですが、ゼロから900m登ると思うとそれはきつい。少しだけ助かる感じです。
開聞岳の登山道は、正円錐形の山をぐるりと巻く蚊取り線香のような形状。5合目までは土塀に囲われたような登山道を上がっていく。
旅犬、今回に限っては登山犬ドギー。決して登山には向いていない体形ですが、お出かけは大好き。短い脚を躍動させて一生懸命歩きます。
5合目
5合目に着きました。山頂=10合目だとすると大体半分。山によってはその限りではないので、ここだけの話です。
ここはウッドデッキなどが整備されていて、一休みするのにちょうど良いです。
所々景色が広がる場所があります。ここでは池田湖が見えています。いつぞや、怪獣イッシーが目撃されて有名になりました。その正体は湖に棲息する大ウナギとも。池田湖自体、火山の噴火口に水が溜まって出来たカルデラ湖。山に囲われている形状から、そのことがわかります。
遠く海の向こうには噴煙を上げる桜島が見えています。
開聞岳から眺める景色の真髄はこんなものではありません。一休みしてから再び山頂を目指します。
急峻な山頂近く
5合目を過ぎたあたりから道がやや険しくなります。
時には梯子(はしご)も。これらはさすがにドギーに越えるのは無理なので、犬専門シェルパの出番です。小型犬で良かった!
森林限界を超えて、一気に景色が広がりました。これぞ開聞。延びる海岸線の先は枕崎方面。それよりまだ先、薩摩半島先端・坊ノ岬(ぼうのみさき)まで見えています。戦艦大和最期の戦いとなった「坊ノ岬沖海戦」で登場する地名です。
山頂はもうすぐ!
犬と登頂達成
ここまで犬連れでゆっくり登って3時間くらい。標高924mは、雲辺寺山(香川・徳島/927m)や六甲山(兵庫/931m)と、ほぼ同じ高さ。
登山犬ドギーももちろん登頂達成です。疲れたんでしょうね、お顔が少し不機嫌なように見えます。
日陰に繋いでお水を飲ませて。少し元気を取り戻したようです。
開聞岳山頂からの景色
東…大隅半島(おおすみはんとう)
西…薩摩半島(さつまはんとう)
鹿児島本土にある二つの半島のうち、開聞岳があるのは西(左)の薩摩半島。
緯度的には大隅半島の方が南へ突き出ており、そちらの先端は更に南に見えます。
真下に見えている薩摩半島側の突き出た部分は「長崎鼻(ながさきばな)」
海に突き出た遮るものの無いロケーションゆえ、ここから眺める開聞岳の山容はより一層美しく感じられる、そんな素敵な場所です。
お馴染み池田湖。お山の上から眺めると、周囲を外輪山に囲まれたカルデラ湖の形状がよく分かります。鰻池はこの写真には映っていませんが、池田湖の東(右)3kmのところ。
周辺の名所や有名なものとしては、
薩摩一ノ宮・枚聞神社(ひらききじんじゃ)
鏡池(かがみいけ)
指宿市営唐船峡(とうせんきょう)そうめん流し
等
実は流しそうめんが盛んな鹿児島県。当地では流しそうめんと言わず「そうめん流し」と呼ぶ。通常イメージするそうめんは、高いところから竹樋などを通じて低いところに流す方式。そうめんだけではなく、ミニトマトや果物を流したりするアレです。
対して鹿児島のそうめん流しは、大小楕円のプールの中をそうめんがぐるぐる回る回転式。夏になるとカキ氷機等の近くに売られているあの装置。実は鹿児島県発祥だったりします。
休憩、その後下山
飼主が山の上でごはんを食べている間の開聞岳山頂滞在。ドギーも環境に慣れたのか、諦めたのか。静かになったと思ったらウトウト…
飼い犬がこの場所に立つことはなかなか難しい。イヌは元気でこの場所まで付いてこなければいけないし、ヒトは全力サポートが必要。まあそこは飼主がどうしてでも連れて行ってやりたいので、元気なドギーだから達成できたことです。
山の上で一休みして、来た道を下山。帰り道も元気で歩けるところは自分で歩きました。
見て良し、登って良し。開聞岳はやっぱりいいお山!