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そらうみ旅犬ものがたり

「なんじゃい」。昭和レトロが残る駅・後編<南蛇井駅/群馬県富岡市>

「ナサイ」転じて「なんじゃい」。アイヌ語由来の南蛇井駅へ、そらうみ駅駅長ことドギーと訪ねました。

一面三線の南蛇井駅プラットホーム

 

製糸業と鉄道

南蛇井駅プラットホーム

明治30年(1897)7月開業、ということは今から122年も前にこの駅は「ナンジャイ!」と産声を上げたわけです。これは現存する私鉄の中では、愛媛県の伊予鉄道(いよてつどう)に次ぐ古さ。

当時は明治政府による富国強兵政策で、蚕を育てて蚕糸を採取する「製糸業」が奨励されていた時代。明治~昭和初期にかけて、生糸は外貨獲得のためにとても重要な産物でした。

東では主に当地(上毛、群馬県)で生産された生糸を横浜へ運び、そこから船に載せて輸出。現在の高崎線(たかさきせん)や両毛線(りょうもうせん)は、当地で生産される生糸を輸出港へ輸送するために敷設されました。更に後年、高崎から八王子を直接結ぶ八高線(はちこうせん)が敷設されますが、それは東京を経由せずより短かい距離で横浜へ向かうことができる路線。製糸業は数ある産業の中で最重要視されていたと言っても、過言ではなさそうです。

なお西の製糸県は、兵庫県がそれに当たります。神戸という国際貿易港を中心に、生糸生産地である但馬(たじま)を始め、元々他國・他藩であった場所を次々と兵庫県に組み込んで、県に力を持たせた。日本で一番初めに整備された鉄道・東海道本線が東京~神戸であったり、兵庫県の初代知事に伊藤博文を派遣していることから、神戸港が西の生糸輸出の拠点として特別重要視されていたことを、窺い知ることができます。

世界遺産がある街

何気に世界遺産の街・南蛇井

群馬県には世界遺産が存在します。南蛇井駅があるのと同じ街、日本史の教科書にも登場する「官営富岡製糸場」。最寄り駅はここから5駅先の「上州富岡」駅。距離にして10km離れていません。

 

群馬?栃木?「毛」のくに

高崎と下仁田を結ぶ上信電鉄

群馬やお隣栃木に行くと「毛」という字をよく目にします。

元々は両者は同じ「毛野國(けのくに)」

分割されて、

「上野國(こうずけのくに)=群馬県」「下野國(しもつけのくに)=栃木県」

になりました。地図で見て栃木と群馬、どっちがどっちかわからない、というのはそこから来ているものと思われます。群馬・栃木のいわゆる「両毛地域」の街で、太田市は群馬で、足利市は栃木で…と、各市町村の所属県を間違えずに答えることができる人は、なかなかいないのでは、と思います。それくらい風土や産業等が共通しているように思います。

また感覚的なものですが、群馬では上野はあまり用いられず上毛。栃木では下毛はあまり用いられず下野。「毛」は群馬の方が好んで使用している印象があります。いかがでしょうか。

 

南蛇井駅駅訪ね

プラットホームから南蛇井駅

プラットホームから南蛇井駅駅舎を眺めます。所々手直しされているものの、古き良き佇まいを残す建造物。駅名の響きだけでなく、駅舎訪問も立派な観光に成り得ます。

色んなところになんじゃい

今はあまり見ることができなくなった、愛らしいフォント。いつからあるのでしょうね。

なんじゃいくん

駅研修でお馴染み、駅名標と一緒に「なんじゃいくん」しました。

 

列車がやってきました

下り電車が来たよ

駅に居る時って、どうしてこうすぐに時間が経つのでしょう。特にローカル駅、無人駅。いくら時間が有っても足りません。電車が来るのは、まだだいぶ先だな~と思っていたのですが、もうその時間になりました。

ご当地・マンナンライフラッピング

群馬と言えば蒟蒻畑。マンナンライフさんの地元です。飲み込まないように食べましょうね。

カラーリングこそ上信電鉄式になっているものの、この顔どこかで…

元西武鉄道の車両です。
地方私鉄と言えば、こちらの車両のように大手私鉄からの譲渡車両が多く在籍。上信電鉄もその例に漏れずですが、平成25年(2013)に自社発注の車両が導入されています。導入にあたっては、国と県の全面支援がありました。世界遺産効果は大きいですね。

この後、田舎の駅とは思えないほど多数の乗客が下りてきました。上信電鉄と南蛇井駅が、地域の足として機能していることがわかりました。

 

次は●●~●●~

電車が行くといつもの静かな南蛇井駅

列車が行った後は、プラットホームは元通り。ローカル駅に戻ります。

群馬県の交通の中心・高崎から、
世界遺産で賑わう富岡製糸場を横目に見つつ、
南蛇井駅の車内アナウンスを聞き、
終点下仁田まで。

次に訪れる時には列車に乗車して、「次はなんじゃい~なんじゃい~」のアナウンスが聞きたいです。

今回訪れた場所

南蛇井駅(なんじゃいえき)

日程

令和元年(2019)年6月


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