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2020-01-11

乗り鉄犬ドギー、豪雪地帯の鉄道に乗る・後編<大糸線/長野県小谷村・新潟県糸魚川市>


乗り鉄犬・ドギー。冬に空いている列車を中心として、犬の乗り鉄旅を楽しんでいます。

移動ゲージに入っていると大人しいドギー


大糸北線の乗り鉄犬旅

ドギーと大糸線の旅

特急あずさ号の登場に犬の乗り鉄目的を忘れるところでしたが、いよいよ乗車!

今回乗車する区間

JR西日本が管理している大糸線(通称大糸北線)。駅数は始発・終点を含めて9駅・35.3kmですが、

直線が少なくカーブが多い
線路の規格が低いのでスピードがあまり出せない
事等により、1時間弱の時間を要します。

プラットホーム外まで伸びて停車している特急あずさ3号

従来の特急あずさ号は南小谷(みなみおたり)行きであっても途中の松本駅で切り離しが行われて、大糸線内は通常より短い編成で運転されるもの。冬期間のスキー需要を見込んで増結されたまま運転されたのでしょうか。

そんな特急あずさ号を横目に、列車は南小谷(みなみおたり)駅を発車!

 

一面銀世界の鉄道旅

豪雪地帯を走る大糸線

南小谷を出ると更に雪深くなります。

野も山も白銀の世界。

冬の乗り鉄旅はやっぱりこれ。極寒の世界を目にしながら、暖かい列車内。鉄道の力強さと温もりを最も感じることができる場面じゃないかと、個人的に思います。

新旧道路跡があちらこちらに見える

この辺りは並行する国道148号も隧道(ずいどう、トンネル)・覆道(ふくどう)が連続。雪崩等から道路と通行車両を護ります。
が、見えている覆道は既に放棄されたもので現在は使われていません。その少し上にあるトンネルが現在の国道148号。

 

国道148号の前身は「千国街道(ちくにかいどう)」

別名「塩の道」。全方位を山で囲まれた信濃國にとって唯一食塩を入手することができる命の道で、糸魚川から大町・松本を経て塩尻で中山道(なかせんどう)に合流していました。

上杉謙信と武田信玄の逸話「敵に塩を送る」の故事の舞台とも言われている、古くから人々の往来があった歴史街道です。

塩尻(しおじり)
塩が届く終端、のような意味。街の名称はそのことに由来します。

 

けれどいつでも容易に塩を始めとする物資を運ぶことができたわけではなく、夏は姫川の氾濫。冬は雪崩により通行止めにより、最悪の場合はそれらの災害に巻き込まれて命を落とすことは珍しいことではありませんでした。

明治になり塩の道は、荷車や馬車が通ることができる平坦な道が整備される。戦後の交通量の増大に伴って拡幅されて自動車が通行することができる車道となりましたが、依然として冬の間は長期通行止めを余儀なくされていました。覆道(スノーシェッド)の整備等により通年通ることができるようになったのは昭和61年(1986)と新しい。

平成7年(1995)7月11日。当地は集中豪雨に見舞われ、国道148号と大糸線は橋梁の流出等、未曾有の被害に遭う。元々平成10年(1998)に開催される長野冬季オリンピックに向けて所々改良工事が進められているところだったが、それと併せて道路・鉄道共に復旧工事が急ピッチで進められ、道路は翌年、鉄道は翌々年に復旧。道路の多くが新道へ切り替えられ、先の水害で被害を受けた覆道などはその時に放棄されました。

冬の間は豪雪で埋もれて見えなくなっているものが多数ありますが、雪が無い時期に当地を訪れると列車や自動車の車窓から、かつての国道や鉄道跡を見ることができます。

 

大糸線全線開通の地

見えている建物のフロアは2F・3F

列車は一つ先の駅・中土(なかつち)駅へ到着。大糸線接合の地で、駅の開業は昭和10年(1935)。糸魚川から延びて来た大糸北線と繋がることで大糸線が全通したのは、昭和32年(1957)の事でした。

左側の建物は木造三階建て。見えているのは2F3Fです。豪雪を見越してか2Fにも出入口が備えられています。ここは塩の道こと、かつての千国街道の一部。元々は旅篭(はたご)だったのかもしれません。真偽はともかく、そのような想像できることが楽しいです。

 

旅人が集まる有名なお宿・古民家noie梢之雪さんは、当駅が最寄。と言ってもここから山坂3kmちょっと。そしてこの雪。自家用車ならまだしも、厳冬期でも鉄道&徒歩でゲストさんが来られるとか。すごいお宿さん。

 

大糸北線の貴重な立ち寄りスポット

美しいカーブを描くレール

景色は変わらず列車は雪原を駆け抜けます。

周りが雪の白一色なので、地面はレールの色だけが浮かび上がるように見えます。

姫川の上を新旧道路が入り混じる風景

天気は南小谷を出発した時よりも良好。曇って暗かったり、吹雪で見通しが悪いということもなく、車窓を楽しむのに最も良い条件です。

列車は進んで間もなく平岩(ひらいわ)駅

見所を見つけることが難しい大糸北線において、いくつかのスポットが存在するのがこちらの駅。

豪雪の信越県境駅

この駅から新潟県。JR西日本規格の駅名標が雪に埋もれています。

大糸北線で寄り道しようとするなら、平岩駅での途中下車がお勧め。

 

姫川の温泉旅館群

駅から姫川を挟んだ対岸に、温泉地が開けています。
宿泊することができるホテルはもちろん、日帰り入浴施設「瘧の湯(くさのゆ)」さん等、列車を下りて湯めぐりの旅ができる、大糸北線では貴重な立ち寄りスポットがあります。

平岩駅からは姫川に架かる二本どちらかの橋を渡って温泉地へ向かいますが、それらの橋を渡った先にある姫川温泉は住所的には長野県。南の長野県から来ても一度新潟県へ入らないと行くことができない、飛び地のような存在です。

 

大糸線のハイライトシーン

カーブの先に見える鉄橋

今回はドギーとの乗り鉄がメインなので、姫川温泉立ち寄りは断念。列車に乗車したまま糸魚川(いといがわ)駅を目指します。

平岩駅を出た列車は少し直進した後、右へ大きくカーブを描きますが、

姫川を鉄橋で渡ります

このカーブと姫川、第七下姫川橋りょう(通称平岩鉄橋)を列車が渡る様子は大糸線を代表する風景の一つ。撮るにしても乗るにしても、大糸北線に限定するとハイライトシーンと言っても過言ではありません。

今回は平岩鉄橋から眺める景色を楽しみます

鉄橋上に92キロポストを発見することができました。

キロポスト→起点からの距離を示すもの。大糸線の場合、松本駅からの通算距離。

 

終点糸魚川駅へ

糸魚川インターチェンジ付近の工場群

平岩駅を過ぎると、それまでの姫川の谷間を右に左に橋とトンネルを駆使しながら走る景色から、周辺がやや開けた風景へ移り変わります。

こちらの工場群が見えてきたら、終点の糸魚川駅は間近。これらの煙突に見覚えがあると思ったら、北陸自動車道から見える糸魚川インターチェンジ付近にある工場群でした。大糸線はICのすぐ近くを通ります。

見えているのは北陸新幹線の高架

糸魚川インターチェンジを過ぎると北陸新幹線の高架が見えてきます。

糸魚川市街までくると雪は少ない

やがて新幹線の並行在来線と合流。
えちごトキめき鉄道・日本海ひすいライン、かつての北陸本線の一部が新完成開通に伴う経営分離により同線を引き継いだ鉄道会社です。

大糸線ホームに到着した列車

糸魚川駅到着!

乗ってきた列車とドギー

一時間弱、雪の渓谷鉄道旅。乗り鉄犬ドギー・飼い主共々充実感いっぱいです。

 

糸魚川という街

在来線は地上、新幹線は橋上

京から北陸を目指すにあたり付けられた越前(えちぜん、福井県北部)・越中(えっちゅう、富山県)・越後(えちご、新潟県)の各國名。糸魚川は都から最も遠い「越後國(えちごのくに)」にあたります。

新潟県を大きく三つに分ける場合、

上越(じょうえつ)…糸魚川市、上越市など
中越(ちゅうえつ)…長岡市など
下越(かえつ)…新潟市など

南が上越で北が下越。上下逆になるのも、越前越後の理論と同じ。

それでいくと糸魚川は越後國の入口。今でこそ鉄道や高速道路でお隣富山県と容易に行き来できますが、ここと富山の間にある地域は「親不知子不知(おやしらずこしらず)」
断崖絶壁が海に迫る古くから知られた交通の難所がありました。かつて北陸路を往来する旅人たちは、親不知を越えて糸魚川に到着すると、大きな安堵を得たことでしょう。

長野・富山・新潟が出会う場所。という点でも魅力のある街です。

 

複雑怪奇な糸魚川周辺の鉄道運営会社

新幹線ほか乗り入れる糸魚川駅の位置関係

市振(いちぶり)-糸魚川-直江津…日本海ひすいライン
直江津-妙高高原…妙高はねうまライン

市振-富山-俱利伽羅峠(くりからとうげ)…あいの風とやま鉄道

これらが北陸新幹線開業によってJRから経営分離が行われた区間。

これに、

JR西日本管理の大糸線、北陸新幹線
JR東日本管理の信越本線ほか

第三セクターによって運営されている北越急行ほくほく線

 

そのほぼ全てがかつて国鉄(=一社)だったことを考えると、もう何が何だかわかりません。実情どうなっているかと言うと、一般的に他社乗り入れは忌避する傾向があるので乗換だらけになっています。

旅のツールに鉄道を利用する旅人からすると、バラバラの料金体系と乗換の増加は、旅情に水を差される状況。

と、旅人目線ではそうなるのですが、今やその地域の鉄道を支えているは地域の利用者さんたち。その年の中で訪れるか訪れないかわからない旅人が鉄道を支えているわけではありません。
というのも、北陸のように第三セクター方式で運営されるということは、運営資金は県や沿線自治体から投じられる税金。県外からの旅人はそれらの自治体に納税していないので、(間接的に)沿線住民が出資する列車に乗車させてもらっているわけです。

鉄道の在り方が目まぐるしく変わり、地方の鉄道はいつの間にか「国民の足」から「地域住民の足」に変貌しました。我々旅人の感覚も変わらなければいけない状況と言えます。

 

糸魚川駅探検

えちごトキめき鉄道規格の縦型駅名標

なかなか来ることができない場所なので、もう少し駅を探検してから退場することにします。

他では見ない形の駅名標は、えちごトキめき鉄道規格。

駅名と隣駅の表示に、信越連峰が描かれた横型駅名標

こちらは横型駅名標。デザインされている山は信越連峰。糸魚川のシンボルの雨飾山(あまかざりやま、1963m)が描かれているものと思われます。

 

ここだけJR西日本路線

大糸線ホームから上がってきました。
複雑な運行体系を周知するのに、あれこれ掲示物をもって周知されている印象を受けます。

直近の発車時刻・乗車ホーム案内

左…JR大糸線
中…えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン富山方面
右…えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン直江津方面

えちごトキめき鉄道の路線は市振駅までですが、接続は富山県に入った泊(とまり)駅で行われているようです。

新潟・富山・長野の接点駅

大糸線乗車と糸魚川駅探検を終えて、改札から退場。元々JRの駅ですが、現在は基本えちごトキめき鉄道の管理駅で、今はJR西日本が大糸線のために間借りしている印象を受けました。

北陸新幹線の改札はこの左側。在来線駅から乗り換える場合、改札を出て右へ。山側に位置しています。

 

糸魚川駅


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