toggle
2020-01-10

乗り鉄犬ドギー、豪雪地帯の鉄道に乗る・前編<大糸線/長野県小谷村・新潟県糸魚川市>


小型犬や小動物などペットの鉄道乗車ですが、各鉄道会社の規定を満たすことで合法的に鉄道に乗車することができます。すなわち犬と鉄道旅を楽しむことが可能。冬は北国を共に旅することが多いうちのドギーですが、運転本数が少ない雪国のローカル線に乗車する機会がありました。

「手荷物」として乗車することができる飼犬

 


大糸線(おおいとせん)と厳しい現状

日本を二分するフォッサマグナに沿って走る路線

長野県の中央に位置する都市・松本から信濃大町を経て糸魚川へ走る大糸線(おおいとせん)

全線105.4kmのうち、
松本 - 南小谷(みなみおたり) 70.1km JR東日本 電化
南小谷 - 糸魚川(いといがわ) 35.3km JR西日本 非電化
それぞれ管理者が異なり、運行されている列車も異なる。

沿線には安曇野(あずみの)のような雄大な北アルプスを背後に望む田園地帯であったり、信濃大町や白馬では登山にスキー、温泉を楽しむことができる観光地があります。しかしながらそう言った有名観光地の多くは、JR東日本が管理する大糸線中部・南部に集中。
JR西日本が管理する南小谷駅以北の大糸線北部は、

沿線人口が少ない
観光資源に乏しい
日本有数の豪雪地帯
暴れ川として度々氾濫を起こす姫川(ひめかわ)沿い
ほか

収入のわりに路線を保守管理するための経費と負担が大きい。
おまけに北陸新幹線開通後は大糸線が接続している糸魚川駅の路線が第三セクター・えちごトキめき鉄道に転換されたため、大糸線は他JR西日本在来線と接続しない孤立路線になってしまいました。検査などで富山や金沢へ車両の回送を行うにしても他社線を介することで、使用料や合間のダイヤ調整が必要。JR西日本にとっては実入りの悪い路線を押し付けられている形になっていると言っても過言ではありません。

 

また、記憶に新しいところでは、平成7年(1995)に姫川が氾濫して鉄橋等が流出。全線復旧には2年以上の期間を要しました。

当時は災害で鉄道が被害を受けると、幹線・ローカル線関わらず迅速に復旧作業が行われる動きがありましたが、今日後者のような直しても赤字が明らかな路線に関しては、莫大な復旧費用を県や沿線自治体に求める風潮があります。
そのような場合は往々にして費用負担の折り合いが付かず、運休が長期化かなし崩し的に廃線になってしまう傾向があります。

今回乗車する南小谷-糸魚川の通称・大糸北線は、今のところ細々と運行することができていますが、災害の発生率が高い地域であることには変わりない。今乗るべき路線です。

 

南小谷駅

南小谷駅(みなみおたりえき/長野県小谷村)

旅の始まりは南小谷駅から。駅舎屋根に積もっている雪の量がもの凄い。これが日本一の豪雪地帯である信越県境(長野・新潟)の実力です。

南小谷駅の位置

松本
糸魚川

を結ぶ路線の途中。途中と言っても南小谷駅の位置は終点の糸魚川寄り。当駅を境に北がJR西日本、南をJR東日本と管轄が変わりますが、管理している営業距離はほぼ倍の開きがあります。

運転されている列車本数は、倍ほどの違いがある

(左)下り糸魚川方面…JR西日本
(右)上り松本方面…JR東日本

後者の「14:22発・特急あずさ26号新宿行き」が光ります。

 

JR二社の車両を見ることができる駅

改札越しに見えるのはJR西日本の列車

切符の購入と改札を済ませて、既に入線している糸魚川行きの列車に乗車することにします。

プラットホームに置かれた二基の除雪機

改札を通ると1番線。プラットホームに置かれているのは除雪機。それもなかなかの大きさのものがスタンバイしていることに、ここが豪雪地帯であることを改めて知らされます。

西日本と東日本の列車を見ることができる

(左)糸魚川行き…JR西日本…気動車
(右)松本行き…JR東日本…電車

在来線ではJR西日本・JR東日本が接する唯一の駅(新幹線では北陸新幹線の上越妙高駅)となっていて、両社の列車を見ることができます。

この駅を境に電化・非電化と、列車を動かすための動力が異なる。この事が国鉄からJRへ移管される際、南小谷駅を境に管理が分けられることになった理由の一つ。
そんな不公平を生むのなら電化を行う際に糸魚川まで一括電化しておかえばよかったのに。と思うところですが、南小谷から糸魚川の間は人口が少なくて収支が見込めない。その割にカーブ・鉄橋・トンネルが多く、雪がたくさん積もる。電化を行うにも通常より技術を要し、冬期間の保守にも手間がかかるようになる。そのような費用対効果(=コスパ)の悪さもあって全線電化が見送られた経緯があります。

 

メリット・デメリット両側面ある豪雪

1番線の端から眺める信濃大町方面

なんにしても、この雪。

駅名標まで届くほど積もった積雪

看板の高さまで地上から約1mありますが、そこが埋まるか埋まらないかの積雪量。

 

逆に言えばこの豪雪のおかげで生き永らえたという面もあります。
国鉄が赤字路線を廃止する取り組みの中で、廃止に該当する路線であっても

「代替輸送道路が積雪で年10日以上通行不可能」
「代替輸送道路が未整備」

という特例が設けられていました。

営業成績は悪いけれど、冬に他の交通網に不安がある地域は据え置く(=国費で補填する)

と言った感じ。
大糸線は別の区間の利用が堅調だったため、その特例に預からなくても存続することができた路線ですが、JR化後はあくまで「会社」。同社内の路線で言えば広島県の可部線で部分廃止が行われたように、利用が少なく使い勝手が良くない区間を看過できないことでしょう。それでも存続しているのは、可部線のように行き止まりの路線では無く糸魚川と繋がっている事。そしてこれだけ降る豪雪のおかげと言えます。

 

北陸新幹線が外国人利用の呼び起こしに

雪国の跨線橋は堅牢そのもの

糸魚川行き各駅停車に乗車するために2番線へ。跨線橋を渡ります。

南小谷駅を通じて白馬などへのスキー需要がある様子

跨線橋のブリッジにあった外国人乗客向けのポスター。

この時は18切符シーズンではなかったので列車はガラガラだと思っていたのですが、外国人さんの乗客が結構乗っていました。糸魚川で新幹線から大糸線へ乗り換えて、南小谷経由で白馬などのスキー場へ。またはその逆。という流れがあるようです。

そう言えば白馬にあるイオン系のスーパーマーケットは、外国人さんだらけでした。

 

特急あずさ号

踏切が鳴って下り列車が入って来ました

なかなか列車に乗ることができません。だって、こんなのが入線して来たら。

特急あずさ!

「あずさ2号」
のヒットで世間に広く知られることになった、特急あずさ号。雪を掻き分けての入線が力強くかっこいい。
(現在こちらのE257系は全車置き換えが行われ、今はもう特急あずさでは運用されていません)

 

東京・新宿-松本で運転されている特急あずさは、

主要駅だけ停車
中小都市の主要駅へ細かく停車
の二タイプで運行されています。

けれど一日に一便だけ、

千葉(6:38) - 新宿(7:27/7:30) - 松本(10:23/10:27) - 南小谷(11:45)

始発も終点も延長された特急あずさが走っています。

かつて大阪-長野で運転されていた「特急しなの(441.2km、廃止当時昼行特急最長)」には及ばないけれど、「あずさ3号(341.6km)」は、現在運行されている在来線特急列車の中では、長距離の部類に入ります。

スカイツリーを左に見ながら
新宿のビル群の間を抜けて
中央線の直線区間を軽快に走り、
山梨県では左に富士山を見ながら
高度をグングン上げて長野県へ。
雪を抱いたアルプスを眺めながら
いくつかの湖の横を通って
最後は雪深い南小谷へ。

街で暮らす人たちにとって都会という日常から、地方という非日常へ。沿線風景の移り変わりを楽しむことができる列車、特急あずさ号。特に運転距離が長いあずさ3号は、長距離列車の旅風情を残していると言えます。

 

また、あずさ号が担うもう一つの側面「細かく途中駅に停車」
そうすることで乗客が入れ替わり、多様なニーズに応える。これはかつての急行列車を彷彿させます。

昔は同一区間・同じ行先でも特急/急行が運転されていて、特急は文字通り「特別急行」でノンストップ等極端に停車駅が少なく、急行が停車駅を多く取り運転されるような棲み分けがよく見られました。

今は「スーパーあずさ/あずさ」の区別もなくなり、どちらのタイプも特急あずさ。甲府等主要駅以外は、事前に停車駅を確認してから発券、もしくは乗車しなければなりません。

 

増結されているのかプラットホームに収まらず

この日の運転は増結されていたのでしょうか。南小谷駅のプラットホームに収まり切れていない気がします。

貴重な1日1本の南小谷行きあずさ3号

かつての大糸線冬の風物詩「シュプール号」
最盛期には東京・名古屋・大阪の三大都市圏から運行され人気を博しました。冬の週末夜に大阪駅へ行くと、プラットホームはスキーへ行くんだろうなあという格好、道具を抱えた若者でとても賑わっていた記憶があります。

けれど格安のスキーバスの登場や高速道路の整備、雪道の運転をこなすSUV車の普及によりスキーも個人旅行が増えたため、2000年代初頭にシュプール号は全て姿を消しました。

夜行・昼行の違いがあるとは言え冬に運転されるあずさ3号は、かつてのシュプール号の役割も担っている、というのは無理矢理論でしょうか。新宿駅に停まっている列車が、豪雪の南小谷駅に乗り入れる良い意味での違和感。失われて欲しくない個性です。

 

そろそろ発車時間

大糸線電化区間を走る各駅停車

特急あずさ号が入線して、上下各駅停車もそろそろ発車時刻。こちらは上り列車・信濃大町行き。

中国地方を中心に見ることができる車両

自分とドギーが乗車するのはこちら、糸魚川行き各駅停車です。

 

南小谷駅

 

続き

乗り鉄犬ドギー、豪雪地帯の鉄道に乗る・後編<大糸線/長野県小谷村・新潟県糸魚川市>


関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です