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2020-05-01

線路上をおさんぽできるかつての鉄道駅<安野花の駅公園/広島県安芸太田町>


通常、公共の場であるプラットホームにペットを離してはいけませんが、ここなら大丈夫。可部線の廃止区間にあるかつての鉄道駅には、在りし日に走っていた広島色の車両が静かに留め置かれています。

旅犬ドギーとキハ58のツーショット


可部線の歴史

安野駅(やすのえき/広島県安芸太田町)

鉄道は廃止されて営業を行っていないので、正確には「旧安野駅」になります。

開通していれば、山陽・山陰を結ぶ交通路になっていた

初代開通区間は明治42年(1909年)12月と古い可部線。民営鉄道であったものが、中国地方最大の都市「広島」から山陰の港町「浜田」を結ぶ鉄道計画が持ち上がり、昭和11年(1936)9月に国有化。可部駅から順次延伸工事が行われました。

しかしながら、戦争による工事中断などにより延伸工事は遅れ、昭和49年(1974)に三段峡(さんだんきょう)まで開業した時には地域の移動はマイカーへ変動しており、山間部の人口も減少していたため延伸工事は中止。広浜鉄道の開通は幻となった。

更に延伸区間の「可部-三段峡(※安野駅があった区間)」が、国鉄の赤字が問題に端を発した赤字路線の整理対象になり、平成15年(2003)12月に廃止。可部より先の太田川流域を走る鉄道が姿を消した。

この場所ではありませんが、廃止された前述の区間のうち周辺の宅地化などにより復活した区間があります。
平成29年(2017)3月、「可部-河戸(こうど)」間に当たる区間が電化され「可部-河戸帆待川(こうどほまちがわ)-あき亀山」として復活開業。一度廃止された区間が復活するのは、全国初の事例になりました。

駅前のタバコ屋さん

現在は営業している気配はありません(不明)。ちょうどこの時、廃止された路線に相当する区間を運行している路線バスが前を通って行きました。ここから決して近いわけではありませんし、ご覧の通りの山奥の集落。けれどそのバスに乗車すると、広島市街地の中心に乗換無しで行くことができます。そのことが部分廃止の決定打になったとも言えます(※後述)。

街が寂れるから鉄道が廃止されるのか、鉄道が廃止されたから街が寂れたのか。

鉄道の廃止等で目にする地方の衰退に、国土保全の危機を感じます。

 

猫とかつての安野駅

安野花の駅公園案内図

かつての鉄道駅は現在 「安野花の駅公園」 として整備され、四季の花と在りし日の鉄道施設を楽しむことができるスポットになっています。

こちらの周辺マップは鉄道運行時に描かれたものでしょうか

駅前にある別の近隣案内図。線路がしっかり描かれているあたり、廃止前に立てられた物のようです。

安野駅のところに「猫の駅長」とあります。
有人駅時代に駅長さんが猫を飼っていて「猫が居る駅」として、他の猫たちも集まってきたそうです。その状態は無人駅化後も続いていましたが、路線が廃止されることになりその区間に含まれる安野駅は一度解体が行われることになった。
そこで猫の居場所が無くなることを心配した動物愛護団体などが動き、猫たちは里親など引き取り先が見つかり、駅は解体中止。花の公園として再整備された。

今日「●●の駅長」が全国的なブームになっていますが、それらが登場するずっと前、自然な形で駅長を務めていた猫がここに居たことになります。

 

鉄道の遺構

今にも動き出しそうな 広島色のキハ58系気動車

解体を免れた駅舎とJR西日本規格の駅名標、プラットホーム。そこに静態保存されている列車は鉄道運行当時と同じ姿に見えます。

可部・広島方面

線路の錆が、ここにはもう列車が走っていないことを痛感します。

加計・三段峡方面

沿線は鉄道熱が高い地域。廃止の話が浮上した頃から沿線住民の反対運動が起こり、その声に応える形で列車の増発試験等が行われましたが、結果は芳しくなく惜しまれつつ廃止になりました。
その鉄道熱は、廃止後にも沿線で車両や鉄道施設が保存されている点から、窺い知ることができます。

これは難しい問題で、鉄道に注ぐことができる一番の愛情は「乗車する事」
広島は郊外と市街地を結ぶバス路線が充実していて、このような山間部からも市街中心地である紙屋町(かみやちょう)のバスセンターへ直通バスが出ています。
廃止当時の「可部-三段峡」で運行されていた鉄道は一日8便で、平均すると2時間に1本。対して路線バスは1時間に1~2本。その利便性もですが、鉄道より運行距離が短いため早くて安い。乗換無く市街地の中心へ行くことができる。
可部線の部分廃止は、既に代替交通手段が構築されていた事が大きかったようです。
これが浜田まで全通していたら都市間列車が走っていたでしょうから、運命は違ったと言えます。

鉄道の管理はいち企業であるJRに丸投げですが、国は道路を作ります。バス会社は車体の整備や運営を行う必要はありますが、走らせる道に対して管理を行う義務がありません。この点は全国様々な場所で指摘されている問題です。

プラットホームに残されている乗車位置表示

「ワンマンのりば」「横川方面」

広島方面じゃなくて「横川(よこがわ)」というのがベリーグッド!
今でこそ全ての列車が横川から山陽本線に入って広島駅まで直通(またはその逆)していますが、路線の始まりは横川駅です。

 

線路上を歩く事ができるおさんぽスポット

駅から横川方面に向かって少しの間レールが残されています

そちらをドギーとさんぽ。沿道には桜が植えられていて、春に来ると良さそうです。

安全かつ合法的に立ち入れる線路

最近線路立ち入りで列車の運行を妨げた等のニュースを頻繁に耳にしますが、線路上を歩きたくなった時は「安野花の駅公園」へ行きましょう。明るい雰囲気の場所なので、ワンチャンのお出かけさんぽにもお勧めです。

 

安野花の駅公園

 

旅の期間

平成29年9月


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