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そらうみ旅犬ものがたり

日本最古の鉄道橋vol.1<最上川橋りょう/山形県白鷹町>

鉄橋といえば鉄道走行のハイライトシーンであるように思います。日本で一番古いそれは数奇な運命を経て意外な場所に存在しました。

雪溶けで水量多めの最上川に架かる荒砥鉄橋を、旅犬ドギーと訪ねました

 

日本最古の鉄道橋vol.1

名称:最上川橋りょう
所在地:山形県白鷹町
所属路線:フラワー長井線(山形鉄道)
竣工年:大正12年(1923)

山形県民にとって母なる川・最上川(もがみがわ)。その上流部に架かっている鉄道橋は「現役最古の鉄橋」とされ、地元では荒砥鉄橋(あらとてっきょう)の名で親しまれています。

同区間が旧国鉄長井線として開通したのは大正12年(1923)4月。大正と聞くと鉄道史的にはわりと新しい時代なのでは?東海道本線の初代区間の開業は明治5年(1872)、全通は明治22年(1889)なので探せば他に古い鉄橋があるのではと感じます。

こちらの鉄橋は元々東海道本線に架かっていたもの。愛知・岐阜県境の木曽川に架かる木曽川橋梁として使用されていました。それが鉄道の発達と共に橋が強度不足となったため二代目の橋に架け替えられました。その際に鉄橋を分割して移設された先の一つが山形県白鷹町の最上川が流れるこの場所だったという事です。なので初代の木曽川橋りょうとして架橋された時代(明治20年/1887)から通算すると今年で135年。少し変則的な経緯ではありますが、鉄道黎明期の構造物を目にすることができる場所と言えます。

 

ダブルワーレントラス

橋の構造としては「ダブルワーレントラス」と呼ばれる日本の鉄道黎明期に多用された構造

橋の上部に斜めに鋼材を組む構造は全国で見ることができますが、その多くはトラスの形が「△▽△」になるように組まれます。最上川橋梁では「×」の形になるように組まれたトラス形状が大きな特徴。明治初期の鉄道黎明期には広く見られた工法ですが単純計算通常のトラス構造より2倍多く鋼材が必要になるので、土木技術の発達等時代の流れによってあまり用いられなくなった工法。この場所で今見ることができるのは大変貴重です。

また木曽川橋梁として架けられた当時は国内で鉄を製造する技術やそれを組む土木技術が無く、資材は英国から輸入されその指導にはイギリス人技師チャールズ・ポーナルが当たりました。同氏はいわゆるお雇い外国人で来日後は鉄道橋梁分野で活躍。今日でもローカル線を中心にポーナル由来の鉄道橋梁を目にすることができます。

 

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日本最古の鉄道橋vol.2<最上川橋りょう/山形県中山町・寒河江市>

今回訪れた場所

荒砥鉄橋(あらとてっきょう)

日程

令和4年(2022)3月


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