こちらはかつて陰陽都市間連絡列車が運転されるなど賑わった路線ですが、昨今は大雪による長期運休が目立つようになってきました。
豪雪により運休している木次線
木次線と書いて「きすきせん」と読みます。宍道(島根県松江市)から備後落合(広島県庄原市)を結ぶ81.9kmのうち、県境越えの出雲坂根-三井野原間に三段式スイッチバック(3回進行方向が変わる)があり、当路線のハイライトシーンとして観光列車も走っています。
かつては広島と松江の都市間連絡列車で賑わった路線も、高速道路網の整備等により日本有数のローカル線になってしまって久しいところ。現在こちらの県境越え区間で運転されている列車は一日3往復程度と全国最少水準です。更に近年は厳冬期は大雪により長期運休が行われることが通例になっていて、列車の車窓からこのような銀世界を眺めることができる機会が減少しています。
そのような閑散路線でありながら廃止されることなく存続できている理由に、昭和後期の国鉄赤字路線選定の際にはおろちループがまだ無く「代替道路が未改良」「豪雪により閉ざされる期間が長い」があります。この地域は生活に影響が出るほどの豪雪地帯ですが、それゆえ鉄道が存続することができたと言えます。しかしながら代替道路が整備され機能している今、それらの理由は解消されたように見えます。
長引くコロナ禍は公共交通機関にとって打撃が大きく、鉄道各社は厳しい経営が続いていることが報道されています。それまで他の路線で得た利益を赤字路線に充当することでローカル線を存続させてきた手法もあったのでしょうが、今やそれが叶いません。全国各地で鉄道の廃止協議が行われるようになってきました。
「三段式スイッチバック」という個性と観光資源を持つ木次線とて廃止は例外ではなく、路線の存続が危ぶまれていると言えます。
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