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2019-12-25

雪に閉ざされる奥越の終着駅<九頭竜湖駅/福井県大野市>


旅犬ドギー、福井県初入県は九頭竜湖駅でした

欧州原産で毛むくじゃらなドギーにとって日本の夏は暑過ぎるようですが、冬はお手のもの。飼主とのドライブでやってきたのは、豪雪地帯の終着駅。屋根に積もっている雪が豪雪地帯であることを示しています。

越美北線の終着駅・九頭竜湖駅周辺

駅周辺は消雪パイプにより雪は少ない

今回、ドギーを連れてやってきたのは福井県の奥越(おくえつ)地方にある九頭竜湖駅。福井県東部、岐阜県北部の北濃(ほくのう)地方と接するエリアにある終着駅で、ご覧の通り日本有数の豪雪地帯。

昔は今よりも雪が多かったようで、元々福井県側にあった石徹白(いとしろ)地区が冬期の交通遮断を理由に岐阜県への越県合併を選んだり、三八豪雪(昭和38年/1963)による被害等いくつかの要因によって全村離村が行われた旧西谷村など、大雪のエピソードは数知れず。

この時は運良く岐阜/福井県境の油坂峠(あぶらざかとうげ)を越えて九頭竜湖駅へやって来ることができましたが、降雪・積雪共に非常に多く、なかなかタフな道のりでした。

駅周辺の観光マップ

九頭竜湖駅があるのは旧和泉村の中心地。平成17年(2005)に隣接する自治体との合併によって大野市となりました。

スキーがブームの時は、冬になると列車に乗ってどんどんスキー客が訪れたことでしょうが、今やスキー人口が減った上に、スキーへ行くにしても自家用車で日帰りが主流になりました。こちらの地図では閉店したところが白マーカーで塗られていますが、その中には廃業したスキー宿がいくつか含まれているものと思います。

ログハウス調の木造駅舎

手作り感満載の駅備品の数々

越美北線(えつみほくせん)…
かつて福井と岐阜を結ぶ鉄道が越前・美濃両方向から建設されましたが、県境付近で工事はストップ。全通することなく建設時の名称のまま確定してしまった。越美南線は国鉄から長良川鉄道に転換されている。

九頭竜湖駅(くずりゅうこえき)…
九頭竜川の電源開発によって誕生した九頭竜ダムの人造湖。昭和43年(1968)竣工。観光面を勘案して当駅開業時に駅名に採用されたが、湖(ダム)からは近くはない。

大野郡和泉村…
平成17年(2005)、大野市との合併により消滅

この、時が止まっている感じがとても良いです。

木が基調の明るい雰囲気の駅舎内

駅舎へ入らせてもらいます。
待合所に石油ストーブがありますが、火は点けられていません。この時は列車自体が積雪により運休になっていたため、駅業務自体も休止されていました。

越前と付く駅が多いのは開通時期が遅かったため

福井駅から出た列車は一駅先の越前花堂(えちぜんはなんどう)駅で分岐して、九頭竜湖駅までの約50kmを結びます。沿線には戦国大名である朝倉氏の城下町・一乗谷(いちじょうだに)や、雲海に浮かぶ城として有名になった越前大野など。

「越前」と付く駅名が多いのは、初代開通区間である勝原駅までが昭和35年(1960)、そこから現開通区間の九頭竜湖駅までが昭和47年(1972)と時代的に遅いことから、既に同名の駅が全国各地に存在したため。

豪雪や様々な事情があることでしょうが、岐阜側の越美南線が終点の北濃駅まで昭和9年(1934)に開通していることと比べると、福井側がもう少し早く建設に着手していれば越美線は全通していたかもしれない、と感じます。

始発列車は朝6時ちょうど発車

この時の運行ダイヤで一日5便(うち1便は越前大野まで)。大野や福井の学校へ行こうとすると6時乗車?

九頭竜湖6:00→越前大野6:35/6:45→福井7:39
朝早過ぎじゃないかと思ってダイヤを調べて見たら、福井市の学校へ通うとするなら納得のダイヤです。けれど冬の早朝とか、駅までの道路の除雪は終わっているのでしょうか。親御さん大変。

なお、下り便の最終は
福井19:03→越前大野20:00/20:05→九頭竜湖20:38
部活動も可能なダイヤです。

雪国ならではの乗降方法

雪国あるある、半自動扱い。じゃなくてここは「手動」です。車内保温のため必要な措置。

 

プラットホームに出てみます。

除雪が行われないプラットホーム

九頭竜湖駅プラットホーム

一面一線、一両編成のディーゼルカーが行き来するだけの簡素なプラットホーム。

ホーム上屋に取り付けられている蛍光灯の「くずりゅうこ」の字。クラシックなフォントがとても良い感じです。暗くなって点灯している時間になると、字がどう浮き上がるのか気になります。

見てみたいな

どうせだったら雪に覆われている冬が良い

でも日没後の雪道を車に乗って来る勇気は無い

じゃあ列車で

雪は積もっているけれど、運休するほどの雪ではない

なかなか難しい条件ですが、叶う日は来るのでしょうか。

積雪を諦めて除雪が行われていない

この時は雪が止んでおりましたが、どんどん降り積もる雪に除雪諦めモード。だって雪除けても乗る人いませんし。鶏が先か卵が先か話になりますが、難しい問題です。

「鉄道は悪天候に強い」
昔はそう言ったものですが、今は逆。責任追及を行う社会の弊害です。道路の除雪は国や自治体が行いますが、鉄道の除雪は自費。列車を運休させてバス(タクシー)代行輸送が行われるのも止むを得ません。

行き止まりの駅なので、行先は片側だけ

JR西日本規格の駅名標。終着駅なので行先表示はもちろん片側だけです。

近い将来、福井、そして敦賀まで新幹線が開通すると、新潟・富山・金沢と同じように、北陸本線は第三セクターに転換されることでしょう(えちごトキめき鉄道など)。

幹線はそうなりますが越美北線のような枝線は?
北陸他県の例を見ているとJR西日本のまま残置(城端線・七尾線など)。収益が低い路線をハイハイと県や市町村の税金を投入して運営するわけにはいきません。北陸新幹線の福井延伸と同時期に、越美北線の運命が揺らぐ時が訪れそうです。

九頭竜駅の大切なスポンサー様

そういえば岐阜方面から来る時に、お店を見た気がします。

クマが特徴的なのと、
住所が市町村合併前のままなのと、
電話番号をかけようと思っても市外局番がわからない。

この看板を駅で目にして興味を持って行こうとする人は県外人だと思うのですが、市外局番がわからないと電話かけれませんよね(当エリアの市外局番は0779)。

今の時代、お店に電話かけようと思ったらスマホで調べれば良いので、これはこのまま残って欲しい貴重な看板です。

スプリンクラー作動中

足元に目をやると、駅前同様スプリンクラーが作動して列車が発着するであろう部分のみ融雪が行われていました。

生活していく上で線路・道路の融雪は必要不可欠ですが、地下水を汲み上げて散水を行うので、湧水の低下などの問題もあるそうです。そうなると輸送見込みがあまり無い鉄道は、ここでも悪者になってしまいます。これもまた難しい問題。

越美線の夢の跡

ここから先は建設されることがなかった越美線

歴史に「たら」「れば」はありませんが、九頭竜駅の先。ここから岐阜へ越美線が全通していたら、名古屋・岐阜から福井・金沢へ直通の長距離列車が走っていたことも考えらます。
越美北線・長良川鉄道(越美南線)の両者共に違った歴史と歩みがあったのかな。沿線の寂しさと越美北線の将来を考えると残念でなりません。

九頭竜湖駅


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