toggle
2020-01-13

歴史街道と分水嶺に位置する雪に覆われた駅<簗場駅/長野県大町市>


白ひげくん

欧州原産の毛むくじゃらドギーにとって、厳冬期は絶好の旅シーズン。四国に居ると非日常的な銀世界とそこで力強く走る鉄道を見るために、雪国へやって来ました。

信濃川へ繋がる流れと、かつての塩の道

プラットホームには除けた雪

「やなば」
と読みます。

簗場とは、川に網を張り落アユを捕える漁法のこと。
ここは長野県北部。駅のすぐそばには仁科三湖(にしなさんこ)の一つである中綱湖(なかつなこ)があり、水産資源が豊富なこの場所のこと、昔はこちらで簗漁(やなりょう)が行われていたのかもしれません。

奥に見える斜面はサンアルピナ鹿島槍スキー場。つまり簗場駅はスキー場の最寄駅。今でこそ泊まってまでスキーを楽しむ人々は減少しましたが、スキーブームの時は集落のスキー宿は大いに賑わったと想像します。
旅人が集まる人気宿・カナメノイエさんがあるのがこちらの集落。駅から徒歩10分程度です。

駅と集落の間を流れる川は農具川(のうぐがわ)。
上流(右)では中綱湖・青木湖、下流(左)では木崎湖。仁科三湖と呼ばれる湖は農具川を通じて、それぞれが繋がっています。
地図で見ると三湖とも日本海からそう遠くない場所に位置していますが、最も南にある木崎湖から流れ出る方角は日本海とは逆の南方向。大町市で高瀬川、安曇野で犀川(さいがわ)。そこからは北に向かって流れを変え、長野市付近で千曲川(ちくまがわ)と合流します。千曲川は信越國境を越えて新潟県に入ると「信濃川」となり日本海に注ぐ。

信濃川と言えば日本最長367kmの延長を誇る大河川ですが、この場所からも水を集めて大河を成しているわけです。

塩の道の途中

駅前を南北に通る道は、かつての千国街道(ちくにかいどう)。通称「塩の道」

「敵に塩を送る」
越後の上杉謙信と甲斐の武田信玄。その中間に位置する信濃國を舞台として何度も戦を交えた宿敵ながら、内陸國であり 塩の不足により困窮している信玄のことを知り、塩を贈った話。その塩はこの辺りを通って行った伝承があります。

*「海のそばに住んでいれば 塩なんていくらでも…」
と思うものですが、内陸部に暮らす人々にとって 塩は貴重品。四国だと内陸部に人口が多い徳島県山間部では、讃岐國へ労働力となる牛馬を貸して、その対価として塩を手に入れる話があるほどです。 借耕牛(かりこうし)と言います。

 

大糸線最高所に位置する駅

駅名標は木製の額

簗場駅の開業は昭和4年(1929)と古い。現在のログハウス調の駅舎は平成16年(2004)に改築されたもの。

周辺路線図

町(おおまち)

魚川(いといがわ)

を結ぶことから、それぞれ一文字ずつ取って名付けられた大糸線。

*「起点は松本なのに大糸…?」

松本~大町間は、私鉄である信濃鉄道によって先に開通していた。その後同線は国有化され、国鉄としては大町から延伸する形で建設を開始したため、町から魚川を結ぶ路線であることから大糸線となったようです。

発着する列車本数は、ローカル線としては多い

下り列車が全て南小谷(みなみおたり)駅行きになっているのは、その駅で
「電化/非電化」
「JR東日本/JR西日本」
に管理者が分かれるため。上下線共に南小谷駅を越えて運転される列車は存在しない。

東海道本線のような長大幹線であれば、

東日本→東海→西日本
と管理者が分けられていることがありますが、大糸線のようなローカル線に二つの管理者が存在することは異例です。

簗場駅周辺のロケーション

除雪されたプラットホームの上に再び雪が積もった様子

プラットホームへ出てみます。

屋根の雪が豪雪地帯を物語る

駅標高は827.2mで大糸線で最も高い。雪が降る量も屋根のそれ、です。

1番線2番線の行き来は跨線橋にて

駅の全貌を見るために跨線橋へ上がってみます。橋は雪国のらしくとても堅牢な造り。

跨線橋から眺める南小谷・糸魚川方面

簗場駅は国鉄・大糸南線の初代開通区間。
雪で埋もれてしまってわかりませんが、雪が無い時に来るとその遺構が見つかるかもしれません。

跨線橋から眺める信濃大町・松本方面

きれいに除雪されたレールに、右の道路がかつての塩の道。その横を流れる川は仁科三湖を繋ぎ、やがて信濃川へ導く農具川です。

 

各駅停車が到着

上り列車がやってきた

白馬方面から列車がやってきました。シルエットから各駅停車のようです。

E127系電車

架線から電力の供給を受けて動力とする、つまり電車(でんしゃ、デンシャ)です。四国や九州など西日本のローカル線はディーゼルエンジンを動力に走る気動車(きどうしゃ、キシャ)が多いので、地方で電車が走っていることに先進性を感じずにはいられません。

信濃大町行き

この区間は一日一往復ですが、千葉・新宿からの特急列車が運転されている区間。つまり都心直通列車が運転されているわけです。
特急あずさ号は簗場駅には停車しませんが、厳冬期に雪煙を上げて走るあずさ号は新宿駅で見るそれとは違って非常に力強いものでしょう。

さすがの定時運行

E127系電車に水色の帯。列車の車体がアルミ素材に変わっても「長野色」は健在。

これだけ雪が積もっていても定時運行。日本の鉄道システムは世界一です。

 

雪国の駅訪ねドギー

簗場駅ドギー

列車が行った簗場駅にて。列車の発着前後を含め、駅に居る間の乗降客は誰もいませんでした。

駅訪問の記念に駅名標とともに。足の短いドギーが雪の上を歩くと、身体の下部は雪まみれになります。

 

簗場駅


関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です