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2020-03-07

古い駅舎が使用されている終着駅<湯前駅/熊本県湯前町>


登録有形文化財にも選ばれている旧型駅舎

熊本県南部、奥球磨(おくくま)と呼ばれるエリアに存在するこちらの駅舎。木造平屋建てに国鉄フォントの駅名標。終着駅でもあり雰囲気十分です。

国鉄湯前線

湯前駅<ゆのまええき/熊本県湯前町>

湯前は「ゆのまえ」と読みます。くま川鉄道の終着駅。

湯前線の歴史

くま川鉄道は元々、人吉で肥薩線(ひさつせん)から分岐して湯前(=この場所)を通り、宮崎県境を越えて妻線(つません)に接続する「日肥線」として建設されたもの。

日向(宮崎県)/肥後(熊本県)

を一文字ずつ取って「にっぴせん」と読みます。開通していれば熊本から宮崎へ向かう最短ルートになるはずでした。

路線の開業は大正13年(1924)3月。
同年7月31日、阪神甲子園球場が完成しています。この年の干支(えと)は甲子(きのえね)。十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)の組み合わせが干支(えと、かんし)。60通りある組み合わせの中で甲子(きのえね、こうし)は1番目。同球場はその縁起の良さにあやかって命名されました。

残念ながらここから先の鉄路が建設されることなく、宮崎県側で接続する予定で建設が進められた妻線は廃止。湯前線はくま川鉄道に転換されて、地域輸送主体のローカル線になりました。

 

随所で見ることができる昔の駅の雰囲気

二つある窓口は、かつて行われていた鉄道貨物の名残

駅舎内へ入らせてもらいます。切符売り場の形状は昔のまま。銀行にしろ郵便局にしろ、駅にしろ。昔の受付窓口って 皆こうでした。

入場券を購入してプラットホームに出ようと思ったら、駅員不在時はどうぞ、との事でした。

改札ラッチ上の電気傘が良い味を出しています

改札を通って振り返ったところ。この写真だけでいくつも見所があります。

今は使用されていない改札ラッチ
建物に据え付けられた「登録有形文化財」の銘板
国鉄時代の駅名標
ほか

改めて古い駅っていいですね!

ここから先は建設されることがありませんでした

プラットホームに出ました。線路が伸びるのはこの駅まで。すなわち湯前駅はくま川鉄道の終着駅です。

東西九州を接続する鉄道路線はいくつも計画されましたが、実現しなかったものが多い。

特に熊本と宮崎を結ぶ、

湯前線+妻線=日肥線(にっぴせん)
高森線+日之影線=熊延線(ゆうえんせん)

このいずれかの路線が開通していれば、熊本のみならず博多から宮崎への短絡ルートと成り得ました。現在の特急ソニックやにちりんシーガイアのように一度小倉へ向かって、そこで方向転換して日豊本線(にっぽうほんせん)を下って… のような迂回運転が無く、高速バスとも勝負になったかもしれません。

それによって裏側で取り残された感がある宮崎県が、今のような地位ではなかったかもしれません。結局のところ今がありのままの姿ですが、鉄路一つで色んな想像を膨らませるのは楽しいです。

【関連記事】在りし日のローカル線を感じることができる列車宿<ひのかげTR列車の宿/宮崎県日之影町>

 

相良三十三観音霊場

800年続いた相良氏の所領に開かれた観音霊場

駅の周辺には相良三十三観音霊場(さがらさんじゅうさんかんのんれいじょう)の札所がいくつも存在します。

戦国大名・相良(さがら)氏が治めた球磨郡内に開かれた観音霊場で、18世紀頃には成立していたとされる。

全てを徒歩で回るには少し距離がありますが、それぞれの札所距離は近い。四国八十八ヶ所のように札所が極端な山の上というところは少ないので、気候の良い季節であれば徒歩巡礼もおすすめです。

 

レトロが点在する湯前駅周辺

登録有形文化財指定の古駅舎

駅舎の外に出て周辺を散策することにします。

湯前駅駅舎は大正13年(1924)の竣工、登録有形文化財に指定されています。もうすぐ100年もの!

宮崎県との県境に位置する湯前町

球磨盆地のほぼ中央を流れる球磨川(くまがわ)を境として、南北に街が広がる球磨地方。三十三の観音さまも南北にそれぞれ点在しています。

駅前の旅館は平家由来?

駅前にある歴史を感じさせる旅館。お店のものかお客さんのものかわかりませんが、2Fの縁側の生活感が飾らない印象でとても良い感じです。

「椎葉(しいば)旅館」の名称もgood。宿主は平家の末裔さんでしょうか。

 

鉄道未成区間を繋ぐ小さな事業者

日肥線の末裔とも言えるコミュニティバス

バスを運営するのは西米良村。「にしめらそん」と読みますが、湯前町から県境の横谷峠(よこたにとうげ、現在はトンネル)を越えて入る宮崎県最初の村。つまり湯前駅には宮崎県の自治体が運営する県境越えのコミュニティバスが発着しています。

そもそもコミュバスとは自治体サービスの一環であるため、基本的に同一の町内(市町村内)の運行で、朝夕に病院や学校、介護施設などを転々と寄りながら乗客の送迎を行うイメージ。県を越えて運行されているのは稀な例と言えます。

特筆する点は、それだけではありません。
終点の村所バス停では宮崎交通のバスに接続しているので、それに乗り換えると西都市まで行くことができます。鉄路としては叶わなかった日肥線や、未成区間を補完する意味合いで運行されていた国鉄バス(のちJRバス、廃止)が事業者を変えて存続しているとも言えます。

湯前12:00 →(西米良村営)→ 村所12:48/12:55 →(宮崎交通)→ 西都14:26
湯前15:45 →(西米良村営)→ 村所16:47/17:00 →(宮崎交通)→ 西都18:31
※ダイヤは取材当時のもの

湯前駅からの接続はこちらの2便。

800円(湯前から西米良)+1,730円(西米良から西都)。
昨今は旅行番組の企画により、路線バス旅の知名度が上昇しているところ。ローカルバス路線で県境越えの旅も良さそうです。

 

湯前町をPRする方々

あまり見たことがないポーズのくまモン

熊本へ来ると、見たことのないポーズや動きを取るくまモンを見かけることができます。
熊本県外で見るくまモンは、よくある棒立ちの姿だけなように思います。

湯前駅駅前ドギー

旅犬ドギー、湯前駅滞在中の約30分間。PR大使を務めました。

湯前駅


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