第27回黒船賞開催日。塚本雄大騎手一周忌の続き。第27回黒船賞のパドック周回が始まりました。毎年JRA勢が圧倒的に強いレースですが、公営の馬たちがどこまでやれるのか楽しみです。

第27回黒船賞パドック

戦前の予想では、
安定した成績を収めて着実に力を付けて来た⑨エンペラーワケア
黒船賞二連覇中で三連覇なるか③シャマル
兵庫所属ながらダートグレードウイナーの⑧アラジンバローズ
この辺りの馬たちが人気を集めていました。

数々のレースを制してきた中で、一番印象に残っているのは2021年9月のサマーチャンピオン(佐賀)。今回騎乗する幸(みゆき)騎手が主戦ですが、当時は新型コロナウイルスの関係で騎乗できなくなり、「キングシャーク」こと佐賀5,000勝の鮫島克也騎手が急遽代打騎乗で見事勝利。同年11月に調教師試験合格に伴って引退されたので、鮫島騎手にとってダートグレード競走最初で最後の勝利になりました。58歳7カ月2日でのダートグレードレース優勝は現在も最年長記録。JRAジョッキーの鮫島良太・鮫島克駿は実子たちです。
個人的にラプタスに愛着がある点に、祖母(二代母)がテンザンストームである事。同馬は1997年7月の菩提樹ステークス(阪神)を逃げ切り勝ちした牝馬です。私が最も競馬を見ていた頃の馬ですね。その時2着に退けたのが歴代最強短距離馬と名高いタイキシャトル。国内外でタイキシャトルに先着したのは調整不足の引退レースで3着に敗れた時の2頭と、真っ向勝負の菩提樹ステークスで先着したテンザンストームだけ。同馬はそこで一世一代の足を使ったのか以降の成績はさっぱりでした。
時が流れてラプタスが活躍し始めた時に血統が気になって血統表を見たら、テンザンストームの名前があるじゃないですか。ラプタスのおばあちゃんの走りを知っている者としては他ならぬ親近感がわきました。ラプタスは気性面の問題から早々に去勢されて騙馬になったため繁殖を担えなくなりました。サラブレッドとしては高齢になろうが走り続けるしかなくなったわけですが、黒船賞も今後走るレースも人馬共に無事のゴールインを願っています。

これまで黒船賞2勝だけでなくJpnⅠも勝っているため、負担重量は全出走馬で最も重い59kg。競馬におけるハンデは負担重量になるのですが、どんな時も負担重量が大きい馬は人気面で敬遠されがちです。ディフェンディングチャンピオンにも関わらず二番人気に留まりました。

今回自分の本命馬は兵庫の⑧アラジンバローズです。前年にサマーチャンピオン(佐賀)でダートグレードレースに勝利して、佐賀で行われた2024年JBCスプリントでも好走しました。今回出走する黒船賞の前走で黒潮スプリンターズカップに出走(2着)して本番に駒を進めてきたのは、厩舎の先輩イグナイターと同じ。黒船賞2勝(2018年エイシンヴァラー、2022年イグナイター)の新子厩舎の馬で期待大です。

前走JRAのGⅠフェブラリーステークスでタイム差殆ど無しの5着。今回川田騎手が騎乗することもあり単勝1.1倍の圧倒的一番人気に推されました。強そうです。

馬主の猪熊氏の勝負服の配色にも使用されている緑帽。枠順は抽せんなので偶然ですが、勝負服と指定帽のトータルコーディネートがバッチリです。
1番人気の⑨エンペラーワケア、2番人気の③シャマルはともかく、もう一頭間にいての4番人気。ここは公営馬の意地を見せて欲しいです。
第27回黒船賞本場場入場

兵庫デビューの生え抜き馬で、安定した成績を残してきた同馬。応援したい馬ではあるのですが、今回は初めての高知でJRA馬相手。ちょっと荷が重いんじゃないあなあと思います。

本命馬ではないので撮れたのはたまたまです。他馬が早々に駆け出してスタート地点の待機所に向かうところ、③シャマルと川須騎手は馬場を踏みしめるようにゆっくり入場してきて、第4コーナー出口のこの地点まで来てキャンターで走り始めました。

その入念さが二連覇中の人馬なのかなと感じました。
第27回黒船賞スタート

黒船賞は第1回から一貫してダート1,400m。ダートグレードレースには、この「ダート1,400m」という距離条件を頻繁に見かけます。その距離がJRAから指定されたものではないのですが「スタート地点から250mが直線である事」のような規定があったように思います。
JRAの競馬場と比べて最後の直線走路が短い地方競馬場では、ある程度前に付けていないと勝つことができません。そのため上級戦(=賞金が高い)では先行争いが激しくなる傾向があります。スタートしてすぐコーナーだと内枠が有利になってしまいますし、激しい先行争いでスピードが乗ったままコーナーに差し掛かっては人馬が曲がれず事故に繋がる、ということなんでしょうね。
そのため1周1,100m程度の広さが多い地方競馬場では、4コーナー奥の引き込み線からスタートして最初の直線距離を十分に取ることができる1,400mの設定が多くなってしまう傾向があります。短距離レースのほうが出走馬が集まりやすい点もありますね。
高知競馬場は一周1,100mで、直線は230m(第4コーナーからゴールまで200m)です。各競馬場の大きさと距離設定はこちらのサイトに掲載されています。
競馬場ガイド→https://www.keiba.go.jp/guide/course/

スタートシーンと第4コーナーの攻防を撮るのが好きなんです。それもありますが、パドックでも写真を撮りたいと思っているので、それを撮ってからゴール前に移動しても、もう場所がありません。私にとってはこの場所がお気に入りです。

高知のレースでは砂が深いインのコース取りを避ける傾向がありますが、①ラプタス(白帽)はこのままでは深い砂にスタミナを削られてしまうので、早く外目に出したいところ。しかしながら隣の馬たちが速くすんなり進路を変えることができなそうです。かと言って抑えて場群が落ち着いてから外に出そうにも、レース展開によってはそのチャンスが無いかもしれません。その辺りの駆け引きが見て取れますね。
その点⑧アラジンバローズ(右の緑帽)や⑨エンペラーワケア(左の橙帽)は他馬に包まれる事なく思い思いの位置が取れそうです。個人的に高知1,400mは外枠が有利だと思っています。
第27回黒船賞第4コーナー

逃げた③シャマルが大きなリードを保ったまま第4コーナーを迎えました。

これはもう勝負ありですね。三連覇濃厚!
第27回黒船賞決着

馬場中央は勝者の通り道
なんて言ったりしますが、まさにその通りで③シャマルがビクトリーロードを堂々駆け抜けました。第25回からの黒船賞三連覇達成おめでとうございます。
主だった馬たちを見て行くと、私の本命⑧アラジンバローズ(右から二頭目)は直線で外に出して2着を確保。先行争い激化でペースが速いと見るや後方で我慢させて直線に賭けた鞍上の好判断が光りました。ただ勝った馬が強かった。
圧倒的一番人気に推されていた⑨エンペラーワケア(左から二頭目)は、インを突いて二番手で直線を迎えるも最後交わされての3着。内側は砂が深いので不利とされるもそのようなコースを選択したのは、距離に不安がある馬なのかもしれませんね。バテ気味にゴールインしていましたし。それでも3着確保は流石です。
⑥ニクソンテソーロ(一番右)はよろしければレース映像をご覧ください。先行争いに加わらなかったどころか、第1第2コーナーではポツンと離れた最後方。JRAの馬たちのペースについていけないのかと思わせといて、怒涛の追い込みで4着確保。追い込みに賭けると腹を括って挑んだんですかね。一番鮮やかなレースをしました。11番人気4着は大健闘です。ただこのような印象に残るレースをしてしまうと、次走で人気してしまいがちです。マークされる立場で同じことはなかなか難しいと思うので、次走以降人気で出てきた時は見定めが重要ではないでしょうか。
人気の一角を担った⑫アームズレイン(左から三頭目)は、最後⑧⑥に交わされて5着。先行争い激化が想定外だったようですね。
そんな先行した馬たちが総崩れの中、ハイペースの逃げを打って押し切った③シャマルは本当に強いレースをしました。二連覇中という「黒船賞の勝ち方を知っている」点と、入念に馬場を確認しながら返し馬を行った慎重さゆえでしょうか。

黒船賞は第14回-第16回を三連覇したセイクリムズンや騎乗した岩田康誠騎手(黒船賞最多の5勝)など、黒船賞の勝ち方を知っているリピーターさんが好走するレース。黒船賞2勝の新子調教師(⑧アラジンバローズ)も、必ず前哨戦に高知のレースを走らせてから本番に挑んでいます。
来年以降の黒船賞でも、JRAで実績上位の実力が抜けた馬はともかく、初高知で人気している馬より高知で好走歴がある馬を見つけ出したいと思います。③シャマルの四連覇ないですかね。競馬で四連覇はなかなか聞かない。大井競馬場の東京大賞典を四連覇したオメガパフュームくらい。
それがあってもなくても、来年もまた黒船賞に来ることができますように。全人馬無事の完走おつかれさまでした。
第27回黒船賞映像
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