四国の鉄道幹線の一つである土讃線は高知県須崎市と四万十町の間で海のそばを通りますが、この区間に人知れず佇むアーチが美しいコンクリート橋があります。
人知れず佇むコンクリートアーチ橋
名称:第二領地橋りょう
所在地:高知県須崎市
所属路線:土讃線(JR四国)
竣工年:昭和13年(1936)
全長:107.7m
昭和11年(1934)着工、昭和13年(1936)竣工。翌年の昭和14年(1937)11月に同区間の鉄道が開通しました(須崎~土佐久礼間)。
土讃線(どさんせん)は土佐と讃岐を結ぶことが名称の由来。
戦前の鉄道橋梁は鋼材を用いたいわゆる「鉄橋」が多いのですが、第二領地橋りょうに関してはコンクリートで架けられています。このことは、
鋼材を節約できる
潮風に対する耐蝕性に優れる
これらの比較検討からコンクリートが採用されましたが、建設時期柄鉄材は戦艦建造などに優先する軍部の意向も大きく作用したものと思われます。結果的に鉄道橋としては日本で初めて「五径間連続RC開腹アーチ橋」がこの地に誕生しました(RC=Reinforced Concrete)。平成16年(2004)には土木学会選奨土木遺産の認定を受けています。
陸上から第二領地橋りょうを目にすることはなかなか困難です。列車に乗車している時に海沿いを走る開放感を感じることはできますが車内から橋の下部にあるアーチを見ることはできません。国道56号から分岐して橋を見ることができる山に登って俯瞰するか、浜辺に下りて橋を見上げるか。
今回ドローンを飛ばしてみてコンクリートアーチの全景はもちろん造形美を改めて感じることができましたが、新しい発見だったのが海の青さ。当区間は四国八十八ヶ所の遍路道。遍路道中に何度も海を眺めたことがありましたが、これまで特に海の色が目に留まると言うことはなかったです。第二領地橋りょうと海の青さを合わせた風景は四国の絶景最上位にランクインしました(個人主観です)。
※第一領地橋りょうは須崎寄りに鉄橋として存在します
※「梁」の字が常用外漢字のため、固有名詞としては平仮名表記
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