画面上部に戻る

story

そらうみ旅犬ものがたり

カヌイスト憧れの清流・前編<四万十川/高知県四万十市>

季節は秋になり川の水温が徐々に低下。今年最後の川下りに四国を代表する三川の残り一つ「四万十川」を下って、これからのカヌー犬人生に繋げることにします。

キャリア一年目で三川目の四万十川

カヌー犬、四万十川デビュー

すっかり艇上での立ち位置を覚えたドギー

この年は飼主の念願だった犬連れカヌーデビュー。自身のカヌイスト人生において記念すべき年になりました。

カヌー犬ドギーのデビュー戦・前編

カヌー犬デビューで下った吉野川の記事です。

カヌーツーリング最大の楽しみ

飼主は年度最終戦を楽しむためにこの日は車を先に回送してスタート地点に戻ってきてから漕ぎ始めます。

川の上でかんぱーい

「プシュー」

四万十川(しまんとがわ)を囲う山々にその号令がこだまします。目から、耳から、手で持って、鼻から、そして口から。五感フル活用で楽しむビール。これ以上美味しいビールの飲み方を今のところ知らない。

 

四万十川と仁淀川

さあ、四万十川です

言わずと知れた「最後の清流」
カヌーを始めた者であれば一度は下ってみたい憧れの川。

が、川の色??

そうなんです。四万十川は「四万十グリーン」と呼ばれるように川の水が緑色に見えます。透き通った透明に見える仁淀川とは対照的。そちらは「仁淀ブルー」と呼ばれる。

水質面において仁淀川は全国清流ランキングの常連ですが四万十川はランク外となることが多い。四万十川と仁淀川は「人気のセリーグ」「実力のパリーグ」のような関係。両者共に魅力に溢れています。

原風景が四万十川最大の魅力

遠くて有名…四万十川
近くて綺麗…仁淀川

が両者の特性だと考えていますが、

*「それなら仁淀川で良いでしょ」

となる。でもそうじゃないんです。

「ちょっとカヌーしたいな」
という時に都市から近い仁淀川は便利ですが、

四万十川には遠くても来たくなる魅力がたくさんあります。

それはこの「雰囲気」。ご覧の通り「人口建造物」が見当たらない場面が多々あります。この原風景が四万十川最大の魅力だと思っています。

その点仁淀川はダムで下れない区間があったり、川を下っていても並行道路には普段通り車両が往来しているのが見えてしまいます。ただしそれは川へのアクセスが良い点であり、より人々に親しまれている証として「水辺利用率」というランキングで日本一という数値が出ています。

本当に甲乙つけがたいのが仁淀川四万十川。その両方の川が存在する高知県の自然は規格外と言えます。

カヌー犬第二章は日本一の清流・前編

ドギーと仁淀川を下った時の記事です。

 

流れの変化にご用心

川の勾配が緩やかで初心者にも下り易い。けれど…

四万十川は河口から中流域に向かっての勾配が緩く本流に大規模ダムが無いため、甲殻類やアユなど「降海性の生物の可住域が広い」

川の中を覗いてそれを確認したわけではありませんが川の上をカヌーで下っているとその事がわかります。他の川と比べると「瀬」が少ない、あっても易しい。コースの選び方によっては初心者でも風景を眺めながらのんびりカヌーツーリングを楽しむことができるわけで、その点も四万十川の良さの一つであるように思います。

「犬連れカヌー」「川の上でビール」
へっぽこカヌイストにもぴったりの懐の広い川が四万十川です。しかしながら自然は不変のものではありません。

川岸が崩れて土砂が川に流入している

これまで下ったことがある川で各ポイントを熟知しているようでも、直近で発生した災害などによって違う流れが生まれている場合があります。

この場所は山から流れ込んだ土砂が川に流れ込み、

土砂崩れによって新しく誕生した瀬

川が浅くなったことによって流れが速くなり新しい瀬ができてしまっています。

その左に大きな岩が顔を出しているのでこの流れの方に行ってしまうと危険。水は高いところから低いところに向かって流れます。早いうちに瀬に向かう流れから離れていないとどんどん吸い寄せられて、岩に衝突したりエディー(渦)など流れが複雑になっている部分で沈(ちん、転覆)してしまったり事故の元になります。

川によっては速い流れが当たる部分に消波ブロック(テトラポット)が入っている場合があります。その意図は流れによって岸が崩されないために護岸を目的として施工されているものですが、このような人工建造物がカヌイストにとって最も危険。初めて下る川は、

経験者に教えを乞う

google earthで当該コースを入念にチェックする

現地で下る前に道路から見下ろしてチェック

以前、仁淀川の記事でカヌーを運ぶ自動車回送のコツについて触れさせてもらったことがありましたが、先に車を回送してから戻ってカヌーを始める理由は、当日の川の様子を見てから川下りを始めたいという目的もあります。

カヌー犬第二章は日本一の清流・後編

カヌーツーリング時の自家用車回送について書いている記事はこちらです。

 

四万十川を代表する沈下橋

岩間沈下橋(いわまちんかばし/高知県四万十市)

沈下橋が見えてきました。今回のコースで下り始めて最初に出会う「岩間沈下橋」

四万十川に22本ある沈下橋のうちイメージ写真やポスター等で最も登場する機会が多いのが岩間沈下橋。奥に見えているガードレール付近が撮影ポイントです。今回は川の上から名橋を堪能することにします。

※橋脚の不具合から、平成29年(2017)11月以降不通になっています

何かを訴えかける目

「まだ行くの?」

それとも、

「まったり」

でしょうか。彼自身今回の漕行を入れて三度目のカヌー犬。何度もフネから川に落ちて今があります。リラックスできるようになったようで飼主安心。

川ドラマの舞台になる沈下橋を眺めるドギー

橋を自転車で渡る人
同じようにカヌーで橋をくぐって上陸している人

さっきは自動車が通過していました。四万十川のドラマは沈下橋周辺で生まれます。

 

漕行終了、キャンプに備えます

気付いたらカタツムリも一緒に旅していました

下ってきたコースを眺めるドギー。3回目のカヌー旅にして初めて川に落ちることなく一日を終えました。
ここまで下ったのは1時間。逆に言えばまだ一時間しかカヌーに乗っていませんが、この日の漕行はこちら岩間沈下橋を過ぎたところまで。

今回のカヌーツーリングではキャンプも目的の一つにあるので、まだ外が明るいうちにツーリングを切り上げて幕営に備えます。岩間は名橋でありキャンプ好適地でもあります。

薪(たきぎ)はこれまでの河原で調達

さあキャンプだ!

 

川での薪集めのコツ

カヌーのバックデッキに満載の流木たち

この流木は川を下りながら途中で陸地に上陸して拾い集めたもの。岩間沈下橋(いわまちんかばし)周辺で回収したものではありません。

キャンプ適地に行って薪を探そうとするとこれがなかなか見つかりません。先客が拾ってしまっているから。そこはカヌーツーリングの利点を大いに生かしして流木を拾いながら下ると良いです。キャンプ場ではない場所には流木がゴロゴロあります。

更に言えば、カヌーツーリングでキャンプが計画にある場合は使い古した米袋を用意しておくと猶良しです。あれば拾い集めるのも持ち運ぶにも便利。

 

点火からのディナータイム

薪の組み方

燃え易い竹を先に燃やしてその炎が周りの木に当たるように薪を組みます。子どもの頃から焚火する時は「マッチだけで火を点けれるようになれ」と教え込まれてきましたが、こういう時に役に立って良かったです。

明るいうちから焚火開始

点火しました!

火を眺めていると心が落ち着くのは何故でしょうね

特に何もしなくても点いているだけでいい。水辺の空気感と焚火の匂いが合わさってこの上ないリラックス。

ディナータイム一例

来る途中、地元スーパーマーケットで仕入れたお惣菜たち。地域の中心である江川崎(えかわさき)にはスーパーマーケットがあって川下り前の食材仕入れに重宝します。

持論ですが夏キャンプやカヌーツーリングでの食事は簡単なものが良いと思います。カヌー中の行動時間に充てたりキャンプ中にできること、例えば焚火のようにたくさん楽しみがあるので、それに時間を費やした方が得策だと考えています。クッキングも凝るとなると準備や道具が大幅に増えるので、仲間と一緒に行くカヌーだと良いですが一人だと…と、自分は考えてしまいます。

野田知佑さんに憧れてカヌーを始めた身としてはチキンラーメンだけでも十分。けれど冬のキャンプは違います。他に出来ることが少なく食べる事がメインになるので、料理に力を入れた方が幸せになることができます。

 

河原で夜さ来い

酒と肴に仲間が増えて

ソロ漕行のカヌーツーリングでしたが、この時はキャンプ場に同じくカヌーツーリングのご夫婦さんがいらっしゃいました。暗い時間にこの場所に着いて焚火しようにも流木が落ちてない見つからない…と。うちの焚火にお誘いして、一緒に飲み食いしました。

「夜さ来い」→よさこい、「寄さ来い」とも。「夜になったらおいで」の意味

高知県民ではありませんがその精神は大好きです。

この後小一時間談笑した後、雲行きが怪しくなり自動解散。降り出した雨は雷を伴った本降りになりドギーとテントの中で待機。おかげさまで焚き火は安全に鎮火しました。

 

続き

カヌイスト憧れの清流・後編<四万十川/高知県四万十市>

今回訪れた場所

岩間キャンプ場(いわまきゃんぷじょう)

日程

平成28年(2016)10月


back

前の画面に戻る

前の画面に戻る

© そらうみ旅犬ものがたり