北海道と言えば時に巨大なフキが路傍に生えていたりしますが、こちらは駅のプラットホーム横。フキ自体は珍しいものではありませんがこちらの駅は旅人御用達の唯一無二の存在です。
日本最東端の駅がある場所
一般的に「日本最●端」と聞くと、
「最果て」「何も無い」
そんなロケーションを思い浮かべるように思いますが、日本で一番東にある駅は団地の中にあります。
駅の東西共に住宅街・住宅団地が広がっていて東根室駅自体が終着駅でもありません。小さく静かな無人駅ではあるけれど最果て感というと少し違う雰囲気。
鉄道法における鉄道が運行されている端駅
最東端駅…東根室(ひがしねむろ/北海道根室市)
最西端駅…那覇空港(なはくうこう/沖縄県那覇市)
最南端駅…赤嶺(あかみね/沖縄県那覇市)
最北端駅…稚内(わっかない/北海道稚内市)
通常の鉄道における端駅
最東端駅…東根室(ひがしねむろ/北海道根室市)
最西端駅…たびら平戸口(たびらひらどぐち/長崎県平戸市)
最南端駅…西大山(にしおおやま/鹿児島県指宿市)
最北端駅…稚内(わっかない/北海道稚内市)
西と南がモノレールを鉄道に含めるかどうかによって変わる端っこ。通常は後者の方で語られます。並べてみると終着駅であるほうが少ない事も分かります。どちらに照らし合わせたとしても稚内と東根室は正真正銘の日本の端駅。駅自体が何の変哲が無いとしても最大の価値は「日本最東端の駅」です。
存廃に揺れる根室本線
日本最東端の東根室駅があるのは根室本線の終点である根室駅の一つ手前。詳しくは地図をご覧頂きたいのですが、丘陵地回避や集落を経由するように線路を敷設した関係で路線がカーブしているためです。
「根室本線(ねむろほんせん)」の延長443.8kmはJR北海道最長を誇りますが、その概況はあまり明るいものではありません。西側の「東鹿越(ひがししかごえ)-新得(しんとく)」間は平成28年(2016)の台風10号による路線被害により運休。既に短絡線の「石勝線(せきしょうせん)」が存在するため復旧工事が行われず今も手つかずのまま。
こちらの周辺路線図に描かれている東側は「釧路-根室/135.4km」間に「花咲線(はなさきせん)」の愛称こそ与えられていますが、事実上の切り離しの様な状態で特急列車も釧路まで。両者ともJR北海道が厳しい経営状態を理由として発表された「自社単独で維持することが困難な路線」に含まれています。最東端の東根室駅を含む後者区間は今のところ災害等により運休になっているわけではないので「訪れるなら早いうちに」状態です。
青春18きっぷシーズン等は鉄道旅人の下車があるようで一定以上の利用は有ると言えます。その需要が鉄道経営に寄与するものかと言えば別問題。
運賃収入<鉄道運行
だと思います。事実自分とドギーも自家用車で来駅しました。せめて入場料にと根室駅で入場券を二枚購入しました。
駅名標に「西和田(にしわだ)駅」がシールで修正されているのは、その間に有った花咲駅が平成28年(2016)3月に廃止されたため。これも昨今の苦肉の策でJR北海道では利用の無い駅を中心に年間10駅前後が廃止されていっています。利用が少ないではなく「利用が無い」です。北海道の鉄道の現状です。
東西各方向
根室駅…終着駅
東根室駅…日本最東端駅
自家用車の旅なら両方行けばよいですが、鉄道旅だと時間的にどちらの駅で下りるか悩みどころです。東根室駅で下りて根室駅へ歩いて行くか終点の根室駅まで乗車して東根室駅まで歩いてきて再び乗車するか。ちなみにその駅間距離は1.5km。歩いても20分程度で行くことができます。
ここから釧路方面に向かうと根室市街から外れるので集落は無くなります。むしろ東根室駅が駅前に家や団地まであって北海道全体の駅前では珍しい存在。
列車到達難易度
釧路に泊まってそこから始発の「快速はなさき」に乗車すれば、8時頃に根室に来ることができます。それならとんぼ返りでなく路線バスで(到達可能な)日本最東端・納沙布岬(のさっぷみさき)へ行って戻って、根室市街を散策して釧路に戻ることもできます。もちろん根室市内で宿泊すればもっと余裕があります(宿泊施設の数が釧路と根室では全然違います)。
けれど朝ゆっくり起きて列車に乗って根室を訪れていては現地(=根室)で時間の余裕を持つことはなかなか難しい。鉄道の旅は早起きが前提。特に北海道のような列車本数が少なく移動距離が長い土地であれば猶更です。楽しい宿に当たって夜更かししたとして早起きは眠たいとしても列車の中でウトウトしましょう。それこそが列車旅の魅力とメリットでもあります。
日本最東端駅を訪ねた旅犬
最初は「なにこの巨大なフキ?」と珍しい眼差しでそれを眺めていたドギーですが、慣れるとその傍でちょこん。この時に列車が来れば良かったのですが、ちょうど列車の運行が無い時間帯で日本最東端の駅に到着する列車を見ることはできませんでした。