群青色の海と巨大なクレーンが載せられた岸壁に絶妙な隙間を作って係留され荷役作業が進められるフェリーだいとう。旅犬ドギーに唯一無二の場面を体験させてくれた大東諸島から旅立つ時間が近付いてきました。
北大東島、出港時の荷役風景
北大東島の南側にある港。東側の海(沖縄海)はざっぷんざっぷんしていたのにここは平穏。地点によってこれだけ違うものなんですね。
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いつ乗船の声が掛かるかわからないのでこの島では特に早めに港に着いておく必要があります。
乗船待ちの間何をすることなくぼーっと荷役風景を眺めているのですが、様々なものが一束ずつワイヤーに架けられクレーンの力でフェリーだいとうへ乗せられていきます。先行島である北大東島の荷物は船尾の方に乗せられていきますが、スクリューがある後方に重心が来るように重量をかけるのは鉄則と言ったところでしょうか。両島から運び出される荷物量に応じて配分しているのかもしれません。
「北大東」ナンバー
世界のスーパーカブ! 北大東島にも健在です。原付のナンバープレートはデザイン等ある程度各自体に委ねられている部分がありますが、<市・町・村>が入らない規格の物を初めて見ました。
北大東島、お別れのポーズ
岸近くに着けてしまうと横波を受けて岸にぶつかり船が損傷するし、沖に係留してしまうとクレーンが届きません。5本の太いロープを用いてフェリーだいとうがガッチリ固定されていることがわかります。
他の離島のように海に向かって長波止を築くことが出来れば船を港に着けるれるのでしょうが、南北大東島周辺はいきなり水深1,000m超えのドン深の海。深過ぎて基礎を打ち込むことができずここでは海に伸びる波止場を作ることは夢のまた夢。その点では同じ絶海の孤島である青ヶ島以上です。
今はクレーンがある時代なのでまだ良いほう。昔はフェリーが来ると艀(はしけ)と呼ばれる小舟を出して乗客・資材・家畜。あらゆる物のお迎えがピストン輸送。乗船の時はその逆。この荒波の上をバケツリレーのような感じで乗船&荷役作業を行っていたことを考えると現代は飛躍的な進歩です。
本当は係船柱に足を置いて膝を立てるのがそれ。この時はフェリーにとっては命と同等と言える綱が結ばれていたので少し離れた場所でポーズを取りました。
この後いつ通りのカゴに吊られてフェリーに乗船しました。
空飛ぶバイク
フォークリフトに載せられた籠に作業員さんが乗りコンテナの上に飛び移る。そこでクレーンから吊るされたワイヤーをコンテナに引っ掛け、フォークリフトの籠へ退避。その様子をフォークリフトとクレーンへ伝える係の方が居ることが分かります(黄色いベストを着用した方)。命令系統って大切です。
積荷が船上の限られた積載スペースに隙間なく置かれワイヤーが外されます。こちらにも指示を出す係の方がいらっしゃいます。
オートバイが固定されたパレットの四隅にワイヤーを掛けて宙吊り。
バイクだってもちろん空を飛びます。
オートバイにとってもこれから潮風を浴びながら400kmの船旅です。
テープ送りが行われた船出
陸上では島を離れるお友達のお見送りでしょうか。テープを持って集合されていました。
昔は宇高連絡船の出港時など瀬戸内海どこの航路でも盛んに見られた光景。それが海に落ちた紙テープが海洋汚染になるからと見られなくなりました。本四三橋時代になった事と併せて今や四国では過去の光景です。
船での別れってなかなか見えなくならないから辛いんです。でも見送る側・見送られ側・それを見ている者。どの人にとっても印象的な光景。いつまでも残って欲しい旅立ちのシーンです。
※現在は水に溶けるテープがあるようです
陸に係留されていたロープは外されましたが、沖ブイに繋がれているロープを外さないといけません。
船から出ているロープをたどって二箇所の沖ブイに繋いであるロープを外します。これでフェリーだいとうは自由の身。
エピローグ
ドギーと訪ねる絶海の孤島・大東諸島の旅。全ての条件に恵まれ島々を満喫することができました。
良い場所であれば「また来るよ」が旅人の合言葉なのですが、ドギーと一緒に行く旅の想いはちょっと違います。犬の一生は短いので、遠い土地は同じ場所に何度も行くより次々新しい景色を見せてあげたいと考えています。
なので大東諸島を訪れたドギーと飼主、二人にとってこの旅は一生ものの思い出です。
皆さんも方法が犬連れでないにしても「一生ものと思える旅」を計画されてみてはいかがでしょうか。その時その時を大切な存在と一緒。素敵な時間を過ごすことができます。