港→ビーチ・キャンプ場→出張所→学校と回ってから一度港近くまで下りて、さっきとは違う坂を歩いてまだ行っていない場所へ行くことにします。その坂には江戸時代後期に歴史が動くきっかけとなる事件が秘められていました。
イギリス坂
一度港近くまで戻ってきてさっきとは違う道「イギリス坂」と名付けられた坂を上がります。
港近くにある地図看板には太字の大フォントで記されているので宝島の主要な名所という位置づけでしょうか。
時は鎖国体制真っ只中の江戸時代後期、文政7年(1824)7月。宝島沖にイギリス国籍の捕鯨船が現れ数十名の乗組員が艀(はしけ)に乗って島へ上陸。島で飼われている牛の譲渡を求めた。島の役人がその要求を拒否したところ数名の船員が発砲を行うなどして牛三頭を強奪。それに応戦する形で役人らも発砲。イギリス人1名が射殺された。その現場になったのが薩摩の吐噶喇列島の宝島のこちらの坂だったということです。
この事件は薩摩藩を通じて幕府に報告。宝島事件として日本史に記録されることになります。それまでの異国船への対応は薪水給与令(しんすいきゅうよれい)に基づいて水や食糧を提供する引き換えに上陸を認めない穏便路線。しかしながらこの時期頻繁に外国船が現れるようになったことや宝島などいくつかの場所では実害が発生し始めていたことがあり、翌年に異国船打払令(いこくせんうちはらいれい)という排斥路線に踏み切ることになりました。
宝島郵便局
イギリス坂を登った先にある宝島の郵便局。これまで訪れたことがある悪石島・小宝島は郵便局が無かったので、トカラ列島で初めて郵便局に来ることができました。現在は村の事業によって有人七島全ての島に郵便局・簡易郵便局があるようです。
郵便局の規格について詳しくはありませんがうちの近くにある高松一宮郵便局と遜色のない大きさ。
宝島郵便局と印字されたレシートが欲しかったので友達に手紙を書いて送りました。
友の花温泉
夕方、温泉の開館時間です。
温泉と言うよりは公民館のような外観。
島によっては噴煙がもうもうと出ているトカラ列島ですが、全ての島にボコボコ温泉が湧いているわけではありません。とりわけ最も噴火活動が盛んな諏訪之瀬島には公衆浴場自体がありません。
宝島はこちら「友の花温泉」が火曜日・土曜日の限られた時間に開館。週二回だとかなり難易度が高そうに思いますが、おおむねフェリーとしまの下り便に合わせての開館。今回運よく入ることができるのはそのおかげです。宝島の源泉は湯音が低く加温が必要でありその燃料費高騰が運営を逼迫しているようです。
他に誰も居なかったので使用前に写真を撮らせてもらいました。一番風呂ですが使用するのが申し訳ないくらい清掃が行き届いています。
関西人的には「有馬温泉みたいな湯」です。感覚的なものではあるのですが「温泉に入ってる感」があるお湯。
成分等詳しい事は分からないのですが「ナトリウムイオン」「塩化物イオン」の成分が群を抜いています。確かに注がれているお湯を少しなめてみたらとても濃い塩味でした。温泉から上がった時も身体はベタベタ。後から入って来られた島民さんはお湯に浸からずシャワーだけのマッハ入浴。それを見てその時はもったいない…!と思ったのですが、湯上りのことを考えるとわからんでもないです。
観光で来た身としてはこれほど本格的な温泉に入ることができて大満足です。
売店の商品ラインナップ
他にすることなんてないから温泉浸かったり出たりの繰り返し。この後の予定が無ければこのままビーチハウスに帰って寝るだけなのですが、この日計画したことをまだ達成できていません。
というほど普段は缶ビールや缶チューハイは飲まないんですけど、ここには有れば一択なものが置いてありました。
今時オリオンビールはマルナカでも売られているのを見るくらいで特別珍しいものではありません。しかしながら「沖縄県浦添市字城間」の製造所が書かれているのは買いです。オリオンビールの株を保有しているのが大手ビールメーカーさん。そこで製造されてラベルだけオリオンデザインというなんちゃってオリオンがあります。それは製造元を見ると分かります。
「あのー、こちら購入してもよろしいでしょうか」
*「いいよ??」
「…6缶買ってもよいでしょうか?」
*「どうぞ」
沖縄には温泉はもちろん浴槽に浸かること自体なかなか無いので、風呂上りにオリオンビールを飲むという経験は未だありません。宝島では良質の温泉に入ってからの本物のオリオンビール。これ最高でした。
後学のため他のお酒のラインナップも眺めてみます。扱っているお酒を通じて宝島で何が飲まれているのか想像するのも旅の楽しみの一つです。
パッと見「芋」「黒糖」の二択。二択というかそれは「れんと」の特徴的な瓶が目に入るだけで大半は芋焼酎。
80%…芋
20%…その他(黒糖、麦、清酒、ワイン、泡盛、その他)
という感じでしょうか。やはりベースは鹿児島にあるように思います。そこに奄美らしさが少し。れんとは大島でメジャーな黒糖焼酎で全国に出荷されています。味はもちろん瓶もきれいなのでたまに飲みたくなるお酒。
離島あるある大型冷凍庫。こちらはお店ですが絶海の孤島暮らしにおいては一般の家庭にも欠かせないアイテムです。
*「冷凍肉食べなくても美味しい魚が島の周りにたくさん泳いでいるんじゃあ…」
(宝島での話ではありませんが)美味しい魚は島の周りにいくらでも居るので特にご馳走ではないんですね。それを獲ってきて販売しようにも島内の人がお金を出してそこらへんに居るものを買う?となるようです。かと言って島外との交通路・交易路は週2便のフェリーとしまのみ。それでは販路も限られてしまい安定して出荷することができないので、漁業としては成立しにくいと聞いたことがあります。
三島、十島、大東島…これまでいくつも絶海の孤島に行かせてもらいましたが、そこで何食べた?と記憶を思い返してみると豚生姜焼き定食だったりします。肉のほうが扱い易いんでしょうね。
ちなみに離島であまり見ない店に「パン屋さん」が挙げられます。島でパン屋やればたちまち大人気になるよと言われたことがあります。
トカラ列島と言えば釣り人の聖地でもありますが、そのような方々はいざトカラに行くならここぞとばかりに予備の釣り道具を多めに持ってくるはず。針が無くなって釣りができないとかせっかく行って釣り糸を垂れることができないのが、釣人的には釣れないより悔しいはず。こちらのコーナーにある釣具は主に島民さん用でしょうか。電気ウキが売られていますが、何の魚を狙うのでしょうか。
トカラ列島の特産品に自然塩がありますが宝島でも製造されているようでした。
宝島ディナー
宿泊させてもらうビーチハウスに戻って、3人の手持ち食糧を一堂に並べて「何食べようか?」の談義。これら全て鹿児島で購入したものです。
島の商店を訪ねるのは好きですがそこで売られている商品は基本的に島民さんのためのもの。ましてやキャンプするのなら食糧や水は自分らで持って行くべきものと考えています。持ち運びは少々重たいですが食べて食べて余ったら後は仲間で山分けすれば良いので、そこは多めに仕入れました。
温泉入ってオリオンビールを飲んで心は満たされていましたが、いざ食べものが前に並ぶと食べれてしまうものです。思えばこの前に食事をしたのは昼前のフェリーとしま下船前に食べたのが最後。お腹空いたのを忘れていました。ごはんがとても美味しかったです。
どこにでもあるインスタント食品ですが感じた味は格別。実は空腹でより一層ごはんが美味しく感じたのはもちろんですが、ここでも宝島の空気やその場のメンバーや楽しい時間が味になったのかなあと思いました。食べもの・飲みものの味をより一層引き出す感覚はこれからも大切にしていきたいと思います。