香川県坂出市に雨上がりにだけ現れることから幻と称される滝があります。

雨上がりにだけ現れるまぼろしの滝
ショート版はこちらから→https://www.youtube.com/shorts/AFszaJT0AbY
滝の名前は「稚児ヶ滝(ちごがたき)」
五色台と呼ばれる台地上からふもとへ流れ落ちる滝ですが、そこは雨が少ない香川県での事。普段は水の量が少なく滝が流れている姿をなかなか見ることができません。まとまった雨が降ると山から流れ出る水量が増して滝になるのですが、それだけの雨が当地ではなかなか降ることがないため、滅多に見ることができません。すなわち幻の滝となっております。

その昔この辺りの海に悪魚が現れ人々を困らせるので、時の第12代景行天皇は子の日本武尊(やまとたけるのみこと)を兵士とともに退治に向かわせました。任務通りに魚を退治することはできたものの兵士らは毒に当たり気を失ってしまいました。その時白峰山の方向から瓶を持った神童が雲に乗って現れ、その瓶の水を兵士たちに与えたところ蘇生しました。その神童は礼も受け取らず飛び去っていきましたが、帰っていった山が稚児ヶ嶽と呼ばれるようになり、そこから流れ出す滝は稚児ヶ滝となったそうです。

五色台上に2つある札所の一つですが、当地は保元の乱(1156年)に敗れ配流になった第75代崇徳上皇崩御の地で、寺院に隣接してその御霊を祀った白峯御陵があります。崇徳院は都を追われやってきた讃岐の地で亡くなったと伝わりますが、時として現れる稚児ヶ滝の流れは故郷に戻ることができず、失意の念を抱きながら当地で亡くなった悲しみの涙があふれた時に流れ出すとも言われております。