日本一長い海岸線を持つ長崎県。平地が少ないこともあって県内の行き来に時間を要することが多いのですが、その分フェリーが発達していて旅には積極的に利用したい交通機関です。
国道389号海上区間の輸送を担う高コスパフェリー
長崎県南東部の島原半島もその例にもれず移動に時間がかかる地域です。特に福岡・熊本方面からアクセスする場合、有明海沿岸を半周以上ぐるっと回ってくる必要があります。しかしながら島原半島と対岸、すなわち有明フェリーで多比良港⇔長洲港の移動を比較した場合、
海路…14km/45分
陸路…125km/3時間弱
ショートカット効果が非常に大きいことが分かります。
海上国道
当航路の有効性は古くから知られていたもので、藩政時代に島原を治めていた松平氏が参勤交代で出発する際は多比良港から出発することが多かったようです。近代船舶による対岸の県向けの定期航路の開設は明治20年(1887)頃始まりました。
有明フェリーの航路は海上国道に指定されている区間でもあります。
海上国道とは例えば鹿児島~種子島~奄美大島~沖縄本島のように同じ国道番号が付けられ整備されていますが、島同士が架橋されていない場合その区間をそう呼びます。海上国道には未開通区間を連絡する船舶が就航されている場合があれば、前述の種子島から奄美大島の間はフェリーがないようにその限りではありません。多比良港から長洲港の間は海上国道であり代替えのフェリーが存在していることになります。
それで行くと有明フェリーが含まれる国道389号は、
福岡県大牟田市 ※国道208号から分岐
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熊本県長洲町(長洲港)
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・ 有明フェリー
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長崎県雲仙市(多比良港)
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雲仙岳付近
↓
南島原市(口之津港)
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・ 島鉄フェリー
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熊本県天草市(鬼池港)
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天草市(牛深港)
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・ 三和フェリー
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鹿児島県長島町(蔵之元港)
↓
阿久根市 ※国道3号に合流
長崎⇔熊本の行き来のみならず、雲仙や天草諸島、鹿児島にも一本の道として行くことが可能。変則的とは言え九州南北移動の裏ルートとも取れます。
利便性が高い有明フェリー
web地図を引いてみると旅人にとって魅力的な要素しかないようなルートですが、フェリーの運賃や自家用車の航送料金は手頃な価格で便数も多く前述のショートカット効果が大きい。有明フェリーはそのようなコスパの高さが魅力の航路です。
フェリー乗船中のドギー
それも夏場であれば窓を閉めるので犬に危険が及びますが、冬など気温が低い時期はそれも安心。犬連れの旅は寒い時期こそ、です。