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そらうみ旅犬ものがたり

日本に二箇所しか存在しない形状のダム「豊稔池堰堤/香川県観音寺市」

中世ヨーロッパの古城を思わせるこちらの建造物は讃岐山脈から流れ出て瀬戸内海へ流れ出る柞田川(くにたがわ)の上流にあります。

香川県の山中。愛媛県・徳島県との県境に近い地域にこちらのダムがあります。

 

日本に二箇所しか存在しない形状のダム

そのダムは「豊稔池堰堤」または「豊稔池ダム」の名で呼ばれています。

中央部が5個のアーチと6個の扶壁からなるマルチプルアーチ式と呼ばれるダムは建設実績が少なく、日本国内に現存するダムとしては宮城県の大倉ダムと香川県の豊稔池堰堤の2箇所に限られます。

※堰堤の高さが15m以下の堰堤は法律上はダムではなく堰に区分されますので、その規模であれば他にも存在しているかもしれません

 

日本に二箇所しか存在しない形状のダム

国指定重要文化財に指定されている豊稔池堰堤のあらまし

大正15年(1926)起工、昭和4年(1929)11月竣工。平成18年(2006)12月には重要文化財に指定されました。

建設の背景には雨が少ない当地特有の事情である旱魃対策があり、その労働力の多くは地元住民の出役によって賄われ、のべ15万人の人員を費やして工期約4年で完成しました。

池の名称は当初「田野々池」と呼ばれていましたが、昭和4年(1929)5月に三土忠造大蔵大臣が現地視察をした際に「豊稔池」と命名されました。完成から約100年という長い年月が経過した今でも約500haの農地の水がめとして活躍しています。

 

ゆる抜き

2024年春は雨が多かったため、ゆる(取水栓)を抜かなくても溢れるほど水があります。

豊稔池ダムでは盛夏に「ゆる抜き」という行事が行われます。ゆるとは取水栓の事で下流にある井関池の貯水量が減少する時期にそれが外され、豊稔池ダムの水が下流の田畑に供給されます。毎秒4トンもの水が勢いよく放水される様子は大迫力で見ごたえがあります。撮影に訪れた時はゆる抜きの時期ではありませんが梅雨時の雨上がり後でダムが満水になっていたためか、ゆるを抜かなくても放水口からあふれ出た水が勢い良く流れ落ちておりました。

ゆる抜き行事は灌漑を目的として行われるものなので、年によって行われない場合があります。




平成27年(2015)8月18日
平成28年(2016)8月9日
平成29年(2017)台風で井関池満水の為中止
平成30年(2018)8月8日
令和元年(2019)8月27日
令和2年(2020)コロナで中止
令和3年(2021)コロナで中止
令和4年(2022)コロナで中止
令和5年(2023)台風で井関池満水の為中止
令和6年(2024) ?

コロナ禍はともかく、このところ香川県では大きな旱魃が起きていないためそれは幸運なことではあるのですが、イベントとしてのゆる抜きは数年行われておりません。今年は現段階でこの水位ですからどうでしょうね。

今回訪れた場所

豊稔池堰堤(ほうねんいけえんてい)

日程

令和6年(2024)6月


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