香川県の中央を流れ高松市で瀬戸内海に注ぎ出る香東川。その支流である椛川(かばかわ)に令和2年(2020)に完成した新しいダムがこちらの「椛川ダム」です。
流れ落ちる水が涼しげな香川県最大のダム
人口約40万人を擁する高松市では上水道の大部分を香川用水(早明浦ダム→吉野川)に頼っており、平成6年(1994)夏の渇水では長期間の時間断水を強いられるなど市民生活に大きな影響を及ぼしました。
それ以降渇水はあれど断水には至っておりませんが、いつかまた起きた時にそれを避けるべく自前の水源確保を目指して建設されたのがこちらの椛川ダムです。
高松市の水道の多くは、
高松市の水道←香川用水←(徳島県)吉野川←(高知県)早明浦ダム←吉野川源流
の経路を経てやってきます。
香東川本流ではなく支流らにダムがある理由
香東川本流は三木町の高仙山(こうせんざん、627m)付近に源流がありますが、椛川ダムがある椛川の源流は大滝山(おおたきさん、943m)。香東川水系にはもう一つ、内場川に内場ダムがありますが、そちらの源流は香川県最高峰の竜王山(りゅうおうざん、1,059m)。
大滝山・竜王山は共に徳島県との県境となる讃岐山脈に位置しており、讃岐平野にある高仙山と比べると降水量が多い。すなわち本流よりそれらの支流のほうが水量が多いわけで、香東川本流ではなく支流らにダムが建設された理由はそこにあります。
香川良い香り説
なお、椛川流域にはその名の通りカバノキが多く見られ、その木々の香りが川を伝って里に届くことから「良い香りがする川」→「香川」の地名になった説があります。香川の良い香り説が固有名詞になったものは、四国八十八ヶ所第82番根香寺の名にも見ることができます。