北海道の北東部。オホーツク海沿岸に湧別という街がありますが、この場所はかつて三つの鉄道路線が会する交通の要衝でした。
かつて三つの路線が分岐していたオホーツク海沿岸の街
名寄本線(名寄-遠軽)/平成元年(1989)5月廃止
名寄本線支線(中湧別-湧別)/平成元年(1989)5月廃止
湧網線(中湧別-網走)/昭和62年(1987)3月廃止
中湧別駅を出た線路は駅の北側でこれら三方向に分岐していました。鉄道は上記の年代に廃止されて現在は一路線も残されていません。
湧網線
湧網線(ゆうもうせん)は中湧別駅を出るとすぐに進路を東へ変えて網走を目指していました。沿線には日本で三番目に広いサロマ湖をはじめ、能取湖(のとろこ)、網走湖の湖畔を走る風光明媚な路線でしたが、名寄本線より一足先に廃止され跡地の一部がオホーツク自転車道に転換されています。
名寄本線
道北の名寄(なよろ)から分岐して中湧別を経由する名寄本線は、広義的な意味では札幌とオホーツク海沿岸の都市(紋別・北見・網走など)を接続する路線。土木技術が未発達の時代は地形が厳しい石北ルート(現在の石北本線)を避けて先に建設された歴史を持ちます。
遠軽(えんがる)までの138kmという長大路線ゆえ、廃止になった場合に沿線へ与える影響を考察する意味で一時廃止が保留されていましたがJR北海道に転換してほどなく廃止。本線を名乗る路線でありながら全線が廃止された唯一の例となっています。
道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯
中湧別駅があった場所は再開発が行われ「道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯」を中心に湧別町の文化施設等が整備されています。地上で見てもあまり気付かないのですが、空から見るとこの形状は鉄道の扇形機関庫をイメージしたものなのかな、と想像することができます。そうであればかつての鉄道の街を想像させるエピソードですが、機関庫があったのは遠軽駅のはず?
(真相は分かりません)
同敷地内にはかつての中湧別駅の設備の一部が残され、静態保存されている車両と合わせて見学することが可能。私が訪れた時は人感センサーで発着放送が流れる仕掛けが作動して、ここに鉄道があったときはさぞ旅情あふれる場所だったのだろうなあと想像することができました。
道の駅の名称になっている温泉施設はこちらの写真には写っておりませんが、黄色い車が停まっている駐車場の区画にあります。
旧中湧別駅とドギー
旧駅をおさんぽさせてもらったり敷地内の広い公園で走り回ったり。飼い主としても温泉や食事を取ることができて、非常に利便性が高い道の駅で気に入ってます。
道の駅の名の通り、春になると町内いたる所でチューリップの花が咲き乱れるそうです。いつかチューリップの花が咲く季節に湧別町を訪れてみたいです。