「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」。宇宙と空を飛ぶ乗り物の構想は作者がこの街に暮らした体験から誕生しました。

壮大な宇宙への旅が始まった街
愛媛県大洲市新谷。それぞれ「おおず」「にいや」と読みます。

山間部に位置する新谷は江戸時代は独立した藩であり城下町。明治初期の廃藩置県においては新谷県を名乗っていた時代があります。その繁栄は地域内に残されている金蔵(きんぞう)跡等にその名残を見ることができます。
松本零士こころの古里

戦時中にこの街で暮らした人物に松本零士氏がいます。出身は福岡県ですが戦争の激化によって疎開として母親の出身地である新谷で過ごされていたようです。

残念ながらそれらの多くは自国を守る航空機ではなく日本に侵略を企てる米軍爆撃機でした。この場所であれば徳山や下松など山口県の沿岸部にある軍需工場や都市爆撃のために向かうB29の大編隊などであったことでしょう。
時には艦載機が機銃掃射を行うために低空へ降下してきて、パイロットが笑みを浮かべる姿が見えたとも。ご自身の父も帝国陸軍のパイロットであったようで、戦闘機や戦艦には興味があったようです。
また、新谷の景色の中には神南山(かんなんざん)のふもとを走る蒸気機関車がありました。これらの「空を飛ぶ」「兵器」「蒸気機関車」の要素が合わさって生まれたのが前述の漫画作品だったようです。
ミステリアスな雰囲気を持つ女性

松本零士先生の作品には「メーテル」「スターシャ」と言ったミステリアスな雰囲気を持つ女性が登場しますが、その女性たちのモデルになったのが当地にゆかりのある女性だったと言われています。
名を「楠本高子(1852-1938)」
母は日本で初めての女性医師として知られる「楠本イネ(1827-1903)」
その父は江戸時代に公式的な形で日本を訪れた数少ない異国人の一人である「シーボルト(1796-1866)」
つまりメーテルはシーボルトの孫に当たるとも言えます。
楠本高子が宇和島藩に仕えている時に撮られた写真を目にした松本零士が自身の持つ女性像と一致。各作品のヒロインとして描かれ世に出たそうです。そんな実話・実在の人物とフィクションが合わさった話が新谷に存在します。

このたびの松本零士先生の逝去に悼み心よりご冥福をお祈り申し上げます。
ドギーと新谷のおさんぽ

松本零士先生と同じ愛媛県にゆかりのあるのがうちの子です。