高知競馬最大のレースかつ、唯一のダートグレード競走である黒船賞。毎年この時期を楽しみにしているくらい好きなレースなのですが、2025年はレースの生観戦が叶いました。

第27回黒船賞へやってまいりました

競馬ファンたるもの、1度で良いから日本ダービーや有馬記念を生で見てみたい想いがありますが、スタンドがぎゅうぎゅうになる来場者数を見ると行けずにいます。
高知競馬場の黒船賞もそういう意味では高知なりにすごく観客が集まるレースで、自動車で来ると駐車場に停めれたとしても端っこの遠いところになります。それがバイクだと午後から来てもすんなり入場門前に駐輪。この時期は風が強かったりするとまだ寒いのですが、そこは入念に防寒着を用意すれば大丈夫。暑いよりマシです。雨降りではない限り、黒船賞観戦はバイクですね!

入場門をくぐってすぐのこの位置に以前何があったか思い出せないくらい、圧倒的な存在感を放ちます。遊具としては高知県最大じゃないですかね。日中はいつ来ても子どもさんが楽しむ声が絶えません。

桟橋通り競馬場(=旧高知競馬場)由来の馬頭観音さんに、一日レースが無事に行われるようお参りするために、スタンドが見えるこちら側へやってきました。
この時間に訪れる来場者の多くはスタンド内で発売されている他場のレースを楽しまれているようです。これが土日であればJRAのレースが発売されるので、その傾向はより顕著。みんなが見ているのは目の前で繰り広げられている熱戦より、画面の向こうの華やかなレース…
残念ではありますが、レースの知名度や配当が違い過ぎます。JRAのレースは一般のスポーツ新聞にも出走表が掲載されているので取っ掛かりやすいです。それでもなんでも、高知競馬場に人が来てくれるようになったのは、同場の暗黒時代を知る者として嬉しいです。
塚ちゃんありがとう特別競走

2024年3月24日、高知競馬第10競走。レース中の落馬事故で同日中に亡くなった塚本雄大騎手。第27回黒船賞が行われるのは、その事故から1年と1日経った日でした。

2016年4月デビュー。同年6月初勝利
2018年1月、第32回全日本新人王争覇戦競走2位/10人
2020年ヤングジョッキーズ、トライアルラウンド地方競馬西日本地区1位/15人
2020年ヤングジョッキーズ、ファイナルラウンド総合2位/16人 ※JRA初騎乗
高知競馬名物のファイナルレース等には滅法強く、将来を嘱望されていた騎手の一人でした。

2024年はJRAでも藤岡康太騎手が落馬事故により命を失いました。ついさっきまで元気に馬に乗っていたジョッキーが、ある日突然目の前から姿を消すのは本当に辛いです。かと言って競馬はそのような危険が伴うスポーツであって、今後また起きてしまうかもしれません。これからも全人馬の無事を願いつつ競馬を楽しめればと思います。
塚本雄大騎手は四兄弟で、全国の競馬場で兄弟らが活躍しています。
兄・甲賀弘隆(金沢)
塚本雄大(高知)
弟・塚本涼人(岩手)
弟・塚本征吾(愛知)

競馬のレースを見ていると「特別」と付くレース名を見かけることがあります。競馬における特別の意味は、一般競走と比べて「賞金が高いレース」が特別競走(特別レース)になります。対義語は「一般」になります。「平場(ひらば)」とも。すなわちGⅠレースなど重賞競走は特別競走に含まれます。
特別競走は一般競走と比べて有力馬が集まります。同じクラスでも特別競走のほうが賞金が高いためです。そのため一般競走より勝つのが難しいです。
ただし、当レース「塚ちゃんありがとう特別」は協賛レースなので、レース名は施主さんが命名したもの。前述の主催者が特別に賞金を用意する特別競走ではなく、塚本騎手が贔屓にしていたお店が特別な想いを乗せて命名したものである気がします。

レースは⑧アウゲンブリック(左の橙帽)が逃げを打ち、第4コーナーで十分なリードを保って直線に入ったのでそのまま決まるかと思いきや、外外を回ってきた⑧クリノオリオン(右の橙帽)が直線で脚色が良く一着。二着にはインを突いた③アルスカー(赤帽)が上がって、濱尚美騎手騎乗⑧は3着でした。
下原理騎手が騎乗する第2レース

私的な見どころ⑩ユラリユラメイテに兵庫県所属の下原理(しもはらおさむ)騎手が騎乗する点です。

お客さんの入りを見るとついつい暗黒時代と比べてしまうのですが、その時と比べると観客数はもちろん、客層が多様性に富むようになったと感じます。一昔前の地方競馬は…
コロナ禍で競馬は長期間に亘って無観客の措置が続きました。馬券を購入するためにはインターネット投票が必要になったわけですが、そこでネット投票がすっかり普及しました。今はその時に育ったファンがコロナ禍後に競馬場に来てくれるようになった感があります。
インターネット投票はコロナ禍を受けて整備されたわけではなく、それよりもうちょっと以前から伸びて来ていたのが幸いでした。2000年代初めに廃止された競馬場はともかく、2010年代に廃止になった競馬場は、インターネット投票の波があともうちょっとで到来だったのが、本当に惜しく思います。

遠征騎手はその日開催される全レースに騎乗することができますが、各競馬場では普段から世話をしたり調教を付けているスタッフがいるわけで、そこを飛ばして県外の騎手に騎乗依頼してしまうと既存の人間関係が崩れてしまう場合があるため、ホイホイと依頼することは少ないように思います。
しかしながら当レースでは高知の馬に下原騎手が騎乗しています。
⑩の馬主さんたっての希望か、黒船賞に騎乗する陣営が親交のある高知の調教師さんに下原騎手をコースに慣れさせるために逆騎乗依頼を行ったか。
いずれにしろ下原騎手が兵庫県競馬以外で乗ることはレアケースなので、ここは注目です!

⑩ユラリユラメイテは単勝1.8倍の圧倒的一番人気。すんなり先手を取って逃げの手にでました。

この時はゴールシーンを撮ろうと、⑩の1着ゴールインを楽しみに待っていて僅差でゴールインしたため、色んな意味でやったー!と喜んだのですが、ゴール直前で⑥ジョウショーラインにアタマ差交わされての2着でした。1レース2レースが終了して感じたのは、4コーナーで十分リードがあるように見えても、外外を回った馬が伸びてきますね。さて黒船賞の予想に生きますかどうか。
ちなみに⑥ジョウショーラインと⑩ユラリユラメイテは、共に雑賀正光厩舎の所属馬でそれぞれ9番人気・1番人気。
二頭出しは人気の無い方を買え
競馬の格言の一つではあるのですが、思い出すのはいつもレースが終わった後。まさにその通りになってしまいました(このレースは5着②ケイバラードも雑賀厩舎なので三頭出し)。
雑賀正光調教師は地方通算4,000勝を超える名門厩舎。雑賀は「さいか」と読みます。と来れば和歌山県が連想されると思いますがその通りで、調教師デビューはかつて存在した紀三井寺競馬場で、昭和60年(1985)10月21日の事。同競馬場は昭和63年(1988)3月に廃止されて現在同地には和歌山県立医大が立っています。時勢や世相などの諸事情があって競馬場が無くなることがあるわけですが、失われた競馬場はどこもとても残念に思います。
第4レースJRA交流競走・はりまや盃

第3レースは休憩して、第4レースのパドックにやってきました。

高知の馬に高知の騎手が乗ることとJRAの馬にJRAの騎手が乗るのはもちろん、JRAの馬に騎乗する高知の騎手がいて、どんなレースになるのか楽しみな一戦です。

2023年牝馬三冠リバティアイランドなど、GⅠを何十勝もしているJRAを代表する騎手。当レースで騎乗する⑧マイネルフォーコンは単勝1.6倍の圧倒的一番人気。
川田騎手の横に居る方は⑧を管理する西園翔太調教師。2021年12月に平成生まれの人物の中でJRAで初めて調教師試験に合格、話題になりました。

川田騎手騎乗の⑧マイネルフォーコン(緑帽)は一番右。圧倒的一番人気でしたが、このレースでは逃げることなく先団に取り付いてレースを進めました。

第3レースは見ていないので分からないのですが、1・2・4レースいずれも前に付けた一番人気馬が、その外を回った馬に差されて2着という、リプレイを見ているかのようなレース内容でした。それが分かっていても当たらないのが競馬ですね。
いよいよ第27回黒船賞

第27回黒船賞のパドック周回が始まりました。歴戦の人馬が高知に集う楽しみな一線が始まりです。
続き
2025年に行われた第27回黒船賞のレース記事です。
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