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2021-01-12

車窓の移り変わりが魅力の列車旅<特急いなほ/山形県酒田市-新潟県新潟市>


日本を代表する穀倉地帯を走行する特急いなほ。犬と列車旅はなかなか敷居が高いのですが、それを旅先で、長距離列車でとなると猶更。今回運良くその機会があり、ドギーと特急いなほ乗車を楽しむことができました。

特急いなほ乗車前。顔はめパネルを体験させてもらうドギー

 

酒田駅

庄内平野の背後に聳える鳥海山

遊佐駅から各駅停車に乗って酒田駅に到着しました。広い駅構内が地域の中心駅たるゆえんです。

乗車予定の列車は「12:01・特急いなほ8号・新潟行き」

その前に新庄行きと書かれた普通列車がありますが、そちらの列車に乗車すると「陸羽西線(りくうさいせん/新庄-余目/43.0km)」経由で山形県の内陸地域へ行くことが出来ます。それはそれで魅力的なのですが、今回は特急いなほに乗車することが目的。
発車まで50分くらいありますが、それまでに駅を一旦出て

①ドギーのおトイレ
②食べもの・飲みもの補給
③その他

酒田駅(さかたえき/山形県酒田市)

国鉄時代に建てられた日本海側の主要駅って、だいたいこの形であるような。近いところでは新潟県の「坂町」や、山陰に行くと「益田」など。これって当時の規格なのでしょうか。とりあえず電線がなく空がすっきりしていてきれいです。

酒田駅に来るのはこれが初めて。駅の周辺になにかないものかドギーのおさんぽを兼ねてぶらぶらしてみましたが、制限時間内ではコンビニで食糧を買うのがやっと。旅先ではスーパーマーケットに行くのが好きなのでそれがあれば良かったのですが、見つけれなかったです。
後で地図をじっくり眺めて見ると、酒田駅は市街地の端っこで街はここから海がある方に向かって広がっていることが分かりました。酒田と言えば学校でも習う「酒田大火(さかたたいか/昭和51年10月)」が思い出されます。今回街中に降り立つのでその遺構が見れないかなとちょっと期待していたのですが、その現場まで時間内に行くことはできませんでした。
おしんやおくりびとのロケ地として有名な山居倉庫(さんきょそうこ)がある場所も、駅から少し離れた沿岸部。北前船や最上川(もがみがわ)の水運で栄えた港町・酒田。納得です。また来よう。

 

特急いなほ

プラットホームの向こうに鳥海山。これで見納め

持ち時間が50分あったはずですが、体感的に駅滞在時間は15分くらい。なかなか来れない場所なので限られた時間あれこれ見たい想いはありますが、本題は特急いなほ。それを逃さないよう早めにプラットホームにスタンバイします。

特急いなほ登場!

車両はさきほど遊佐駅で見た黄帯の標準色のようです。

これからドギーと乗車する特急いなほ

時刻表の上では酒田駅停車時間は2分。ヘッドマークとドギーの2ショットを逃すまいと、これで一つ目的達成。

それにしても特急「いなほ」
何故だかとっても気になる列車名です。通常特急の名前は「速さ」をアピールするために、

風…しおかぜなど
光…かがやきなど
鳥…つばめなど
動物…スーパーはくとなど
星…北斗など

等、速さをイメージすることができる列車名が採用されることが多い。
と言っても、

川…しまんとなど
山…いしづちなど
花…ライラックなど

のように、速さアピールではない列車名も数多く存在します。それにしても「いなほ」から受けるほのぼの度は全特急の中でNo.1。良い意味で特急名らしからぬネーミングです。由来はもちろん、新潟-山形-秋田という日本一の米どころを走ることから来ています。

ちなみに「米」に由来する列車名は他にもあって「みずほ」がそれ。新大阪から鹿児島中央に直通する九州新幹線の最速達タイプ。漢字で書くとすれば「瑞穂」。日本特有の稲の瑞々しさを列車名に冠したとの事。これは不思議と米感がないのですが、列車愛称好きとしては「みずほ」と聞くと熊本行きのブルートレインを思い出してしまいますね。

 

月山

遠くに見える山なみは月山連峰。山形県を庄内と村山に分ける山脈でもあります

列車の旅は乗る前が一番テンションMAXで、乗車してしまうと夢のような時間は減る一方で寂しくもなります。そういう意味では、特徴ある列車には乗りたい憧れがありますが、自分は見る方が向いているような気がします。列車名にもなっている稲穂はまだ顔を出していませんが、初夏の田んぼの瑞々しさは列車の窓を通しても感じることができます。

少し離れた位置に雪を冠した山が見えました。鳥海山が東北を代表する山なら、こちらは山形県を代表する「月山(がっさん、1,984m)」。鳥海と同じく篤い信仰によって護られている霊山です。

特急いなほで新潟-秋田の全区間を乗車するとその距離は273.0kmにもなりますが、その魅力は次々と移り変わる車窓だと切に感じます。ここ庄内エリアを走っている時は山のスポットが多いですが、海沿いの区間も多いため景色に飽きが来ることがありません。

 

鼠ヶ関

鼠ヶ関駅(ねずがせきえき/山形県鶴岡市)

なかなか特徴のある駅名ですが、特急いなほは通過。降り立つことができないのが勿体な過ぎる駅です。駅自体は山形県の駅ですが集落内に新潟県との県界があります。その特徴的な地名の由来は多岐に渡り、

山が海に落ちる嶺隅(ねずみ)
海岸に連なる島々が念珠(ねず、ねんじゅ)に見えることから
ここから陸奥路となり北の方角を指す子(ね)
そのため古くから関所が置かれ、寝ずの番をした
源頼朝に追われた義経一行が平泉の藤原氏を頼って北行する際に上陸した「念珠の関」
松尾芭蕉のおくのほそ道に登場する「鼠の関」

様々な事柄に由来するのが鼠ヶ関なら、歴史の舞台に登場することもしばしば。とにかく奥が深い、そんな土地です。今回は泣く泣くパス。

 

篠川流れと粟島

瑠璃色の笹川流れの海の沖にある、リアル瑠璃の島

鼠ヶ関を過ぎた列車は引き続き海岸沿いを走ります。透明度の高い海と変化に富んだ海岸は「笹川流れ」と呼ばれる景勝地。列車内からは駆け足ではありますが、素晴らしい海辺風景の一端を堪能することができます。

沖に浮かんでいる島は「粟島(あわしま)」
新潟の離島と言えば佐渡島が思い浮かびますが、それよりもっと小さな一島一村の島が「新潟県岩船郡粟島浦村(にいがたけんいわふねぐんあわしまうらむら)」。人口約370人は全国の自治体で4番目の少なさです(青ヶ島村→御蔵島村→利島村→粟島浦村→大川村…)。
離島は好きですがさすがにこちらの島は行ったことが無い…ゲストハウスがあるようなので、そちらのご挨拶を兼ねてコロナ禍が収束したら訪れたいと思っている場所の一つです。

粟島浦村ホームページ→http://www.vill.awashimaura.lg.jp/
粟島ゲストハウスおむすびの家さん→https://www.omusubihouse.com/

 

村上駅

上り列車は村上駅に到着する前にちょっとしたイベントあり

列車が村上駅の辺りから本格的に新潟県内の走行になります。鉄道ファンあるあるなのですが、ここで列車内の電気が一度消えます。電車への給電方式が変わるため、その電源切り替えのために一時的に列車への給電が停止されるからです。

世の中には各駅停車に乗っていると、何でここで?というような必ず乗り換えが発生する駅があります。常磐線の取手駅や北陸本線の敦賀駅。ここ羽越本線の村上駅など。これらの駅に共通するのは、いずれも電車への給電方式が変更になる地点。どちらか片方の電源しか搭載していない列車では、両区間を跨いで走ることができないためです。
しかしながら常磐線であれば特急ひたち。北陸本線であれば特急サンダーバード。羽越本線であれば特急いなほ。それらは乗換を行うことなく終点まで行くことができます。これらの車両には両方の電源装置が搭載されているため、どちらの区間も走ることができるからです。

ではなぜ全てをその車両にしないのか→車両価格が高くなる
同じ規格の給電方式にしないのか→運行本数によって電化の費用対効果が異なる

沿線の笹川流れの海をイメージした瑠璃色の特別色いなほ

村上駅ではこれから秋田方面へ向かう特急いなほと行き違い。瑠璃色の特別色の車両を見ることができました。

 

坂町駅

坂町駅(さかまちえき/新潟県村上市)

終点新潟まで50kmを切った辺り。こちら駅からは「米坂線(よねさかせん/米沢-坂町/90.7km)」が分岐しています。
山形県内陸の米沢とこちら坂町を結ぶことが路線名の由来ですが、全盛期は新潟から山形を経て仙台を結ぶ、日本海側と太平洋側の都市を接続する重要な役割を担っていました。現在は高速道路や新幹線の開通により都市間移動としてはその役目を終えていて、一日あたりの列車本数もわずか5往復となっています。そのうちの一往復に「快速べにばな」があり、山形県の県花・紅花の名を冠する列車に旅情を感じることができます。

ちなみに現代の新潟から仙台の移動を新幹線と在来線で比較して見ると、「距離・時間・運賃」が大きく異なります。

①新潟-大宮-仙台…3時間程度
②新潟-坂町-米沢-山形-仙台…5時間半~6時間

距離…①>② ※遠い、近い
時間…①>② ※早い、遅い
運賃…①>② ※高い、安い

鉄道旅としての旅情は圧倒的に②だと思うので、持ち時間に応じて選ぶと良さそうです。

 

新潟駅到着

酒田駅から2時間ほどの特急いなほ乗車を終えて新潟駅到着

在来線ホームに着くと思っていたら高架に上がって上越新幹線と対面乗り換えが可能な形。現代の特急いなほは新幹線からリレーして、新潟県北部や山形県庄内地方を接続する役に徹しているんだなあという印象を受けました。

今回の特急いなほの旅は天気がとても良く、山に海に代わる代わる車窓風景を堪能。またドギーを連れてこの列車に乗るのはなかなか難しそうですが、自家用車で訪れることは十分実現可能。今回行くことができなかった鼠ヶ関や、瑠璃の海・粟島を訪ねてみたいです。

 

新潟駅

旅の期間

令和元年7月


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