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そらうみ旅犬ものがたり

東北秋田へやってきた讃岐のお殿様由来の街<矢島駅/秋田県由利本荘市>

東北秋田に讃岐からお殿様がやってきた土地があります。この場所で讃岐らしさを見ることができないものか、街の中心にある駅を訪ねました。

讃岐のお殿様がやってきた地、その名はやしま

 

東北秋田へやってきた讃岐のお殿様由来の街

名称:矢島駅(やしまえき)
所在地:秋田県由利本荘市
所属路線:由利高原鉄道鳥海山ろく線
開業年:昭和13年(1938)10月

出羽富士こと鳥海山(ちょうかいさん/2,236m)北麓エリアを走る由利高原鉄道(ゆりこうげんてつどう)。前身は国鉄矢島線。秋田県沿岸と内陸の街を連絡する鉄道として敷設されるも全通を果たすことはできず、鉄道自体の存続も危うい時期を乗り越えて県や沿線自治体が出資する第三セクター方式の鉄道として昭和60年(1985)10月に誕生しました。その終点が矢島駅になります。

遠い昔、この地にやってきたのが生駒高俊(いこまたかとし/1611-1659)。元々は四国讃岐の地を治める大名でしたが不祥事により東北出羽の当地に配流になります。雪が全くない讃岐から雪深い矢島の地へ移っての暮らしは決して容易ではなかったのではないでしょうか。もっとも当時は参勤交代の制度があって半年は江戸で暮らさないといけないので、厳冬期は不在だったことも考えられます。

鳥海山北麓に広がる矢島の街

矢島がある由利本荘市出身の有名人にアイドルグループ乃木坂46の初代センターを務めた生駒里奈さんがいますが、もしかしたら生駒ちゃんはそのお殿様の末裔の人物かもしれません。

町内には土田(つちだ)姓を見ることもできるようですが、生駒家初代大名の生駒親正(いこまちかまさ/1526-1603)が生まれた地が美濃國土田(どた)。現在の岐阜県可児市にあたります。讃岐の殿様とは言え本家は岐阜になるので、出羽入封に際して自身の親戚を美濃から呼んで定着した人たちの子孫であることが考えられます。

いずれにしても東北秋田から1,000km以上離れた遠い地になるので、それらの縁が不思議に感じられる。そんな場所が矢島です。

由利高原鉄道の終着駅・矢島

鉄道としては矢島から奥羽本線の院内駅へ接続する計画がありましたが着工されることなく、一時的な終点だったはずの矢島がそのまま終着駅になりました。昭和13年(1938)の開業から昭和60年(1985)の由利高原鉄道転換まで駅名には旧國名を冠した「羽後矢島(うごやしま)」でしたが、こちらは先に開業していた(1925年8月)高徳線の屋島駅と区別するため。矢島の地名自体、讃岐に由来しているのかもしれません。

東北秋田で見つけた”さぬき”

訪問時は駅にお雛様が飾られていましたが、そこにお供えしてあったお菓子は「おいり」。香川県西部を中心に見ることができる女の子のお菓子。まだまだ雪深い時期の訪問でしたが、四国讃岐由来のものを見ることができました。

 

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今回訪れた場所

矢島駅(やしまえき)

日程

令和4年(2022)3月


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