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そらうみ旅犬ものがたり

四季の移り変わりによって姿を現すコンクリートアーチ橋<タウシュベツ川橋梁/北海道上士幌町>

北海道道東エリアのダム湖に減水期になると姿を現すコンクリートアーチ橋があります。

タウシュベツ川橋梁。昭和12年(1937)竣工、昭和14年(1939)11月供用開始

 

四季の移り変わりによって姿を現すコンクリートアーチ橋

道東の都市・帯広から北へ向かって伸びていた国鉄士幌線(こくてつしほろせん)。昭和62年(1987)3月に全線が廃止になり今は存在しません。全線開通が昭和14年(1939)と第二次世界大戦前であったこともあり、橋の建設にはコンクリートアーチ橋が多用されました。その中で最も有名なアーチ橋がこちらタウシュベツ川橋梁です。

タウシュベツ川橋梁が実際に鉄道として運用されたのは僅か18年間だった

昭和14年(1939)11月 士幌線全通 ※タウシュベツ川橋梁供用開始
昭和30年(1955)8月 糠平ダム建設によりルート変更 ※タウシュベツ川橋梁供用終了
昭和53年(1978)12月 糠平-十勝三股を休止 ※ルート変更した区間が運行休止
昭和62年(1987)3月 士幌線全線廃止

 

糠平湖と橋が現れるサイクル

糠平湖(ぬかびらこ)はダムの完成のよって生まれた人造湖であるため、季節によって水位の変化が大きい

橋は水位が減り湖が結氷する冬に顔を出し、春以降は雪解け水等の増水により夏頃に沈み、また冬が来る頃に顔を出すサイクル。水没することによってかかる水圧、凍ったり融けたりすることにより躯体がもろくなり、年々原型が失われていることは確か。橋は糠平ダムの建設によって放棄された廃墟であり、保存にはダムの運用に制限をかけることになるためこれまで手つかずのまま朽ちゆくのを待つ状態になっています。

 

いくつかのアーチは首の皮一枚というところまで来ている

上空から眺めると橋はアーチ部分がコンクリートで、それを枠にして石が敷き詰められていることが分かります

鉄筋コンクリート枠の内部に割石を詰めることで早く安く架橋することができる。建設された時期が第二次世界大戦間近であり資材の節約と早期完成を目指したのでしょうか。しかしながらその枠が崩壊して中央部はアーチが辛うじて首の皮一枚繋がっている状態。これがあと何年持つかと言えば、それは遠い将来ではないように感じます。

 

旧士幌線おさんぽドギー

鉄道が廃止になり原野に帰りつつある林の中をおさんぽ

タウシュベツ川橋梁に近づくためには自家用車が入れるところからは遠く、NPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会さんが運営しているガイドツアーにペットが参加することはできません。そこでドギーとは糠平ダムの建設によって付け替えられた新線のおさんぽを楽しみました。

今でも草刈りなど保守管理を行ってくださっている方があってのこの空間かな、と感じます

当初はこの先の三国峠を越えて上川(かみかわ)まで。すなわち帯広と旭川の両都市を結ぶことを目的として建設された路線が士幌線でした。

しかしながら道路の整備とともに士幌線終点の十勝三股集落からは人が離れこちらの区間を含む末端区間がバス代行運転になり、ほどなくして士幌線自体が廃止になりました。こちらの廃線跡に立つとレールこそ無いもののかつて鉄道が走っていた雰囲気を十分感じることができます。

 

続き

北海道内最高所の峠からの眺望<三国峠/北海道上士幌町>

タウシュベツ橋梁を過ぎて国道273号を北へ進むと眺望抜群の三国峠があります。

今回訪れた場所

タウシュベツ川橋梁

日程

令和4年(2022)5月


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