北海道内で最も長い443.8kmの路線距離を有する根室本線。大雨災害に遭いその一部区間が失われようとしています。
根室本線被災から約七年。運休している駅の現在の姿
平成28年(2016)8月31日、台風10号による大雨の影響により鉄道施設が被災。特に被害が大きかった東鹿越-新得では以後現在に至るまで列車が走ることなくバス代行輸送が続いています。その区間内にあるのが落合駅です。
明治時代開業の歴史ある駅
明治34年(1901)9月…旭川-落合 開通
-日露戦争により工事中断あり-
明治40年(1907)9月…落合-帯広 開通 ※旭川-釧路が鉄道で繋がる
大正2年(1913)8月…滝川-富良野 開通 ※現ルート
大正10年(1921)8月…釧路-根室 開通 ※現名称である根室本線に改称
落合駅の歴史は古く開業は明治34年(1901)9月。山陽鉄道が馬関(現・山陽本線下関駅)まで開通。東京と本州西端が鉄道で繋がったのが同年5月の事なので、当地へ鉄道がやってきたのがいかに早かったかが分かります。
そのことと関連するエピソードとして全国には備後落合駅のように「●●落合」と旧国名が付く駅がいくつか存在しますが、国鉄(JR)の基本的なルールとして同じ名前の駅名を名乗ることは認められず、既に同名の駅がある場合は旧國名等を付けて区別する手法が取られてきました。
落合(1901年/北海道)
美作落合(1924年/岡山県)
陸前落合(1929年/宮城県)
備後落合(1935年/広島県)
会津落合(1947年/福島県) ※1987年に養鱒公園に改称
<参考>
落合(1913年/樺太庁) ※現ドリンスク。日本統治終了により1946年改称
落合(1966年/東京都) ※事業者が異なる
全国に「落合」と付く駅はいくつかありますが北海道の落合が唯一の明治開業で最古参。旧國名等を冠さず落合を名乗れるのです。
駅名の由来になった川
駅名の由来は川が合流する地に由来するもので北海道で多く見られるアイヌ語由来のものではなく和名。シーソラプチ川とルウオマソラプチ川がこの地で合流して空知川になり、富良野や芦別を経て滝川で石狩川に合流します。
当地の落合は川の合流を指すものですが、街道が合流する場所ゆえ落合という例も数多く存在します。中四国だと後者であることが多いです。「出合(であい)」や「落出(おちで)」も同義と思われます。
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松山街道(土佐街道)と集落の道が交わる場所にある旧国鉄バス駅です。
廃止が決定した落合駅
こちらの根室本線はその空知川に沿う形で滝川へ繋がっていますが、ご覧のように落合駅を含む富良野-新得間は災害復旧工事が行われることなく令和6年(2024)4月の廃線が決定しました。
これまではあくまで未定ということで線路を含む鉄道施設が被災当時のまま留め置かれていましたが、それもあって場所によっては今すでに草ぼうぼうで樹木とも言えるほど草木が成長してしまっているので、撤去作業は難航が予想されます。
災害による鉄道廃線は昔からあることですが、先人が築いた歴史ある路線を手放さないといけない現代にもの悲しさを感じずにいられません。
落合駅を訪問したドギー
昨今少数派となった木造駅舎と昭和21年(1946)に再設置された跨線橋ですが、廃止決定によりやがて撤去されるものと思われます。
その前にと思いドギーと訪問しましたが、駅施設の多くへは立ち入ることができませんでした。