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2020-05-02

廃止になった路線にあった駅、その後<駅舎カフェromui/広島市安佐北区>


平成15年(2003)12月に部分廃止になった可部線(かべせん)。鉄道熱が高かった地域柄か、旧沿線各所でかつての鉄道施設を転用したものを見ることができます。

ピザ窯とプラットホームが同居する空間


延伸→部分廃止→部分復活

旧安芸飯室駅(あきいむろえき/広島市安佐北区)

可部線の部分廃止区間に含まれる駅。

開通していれば、山陽・山陰を結ぶ交通路になっていた

「JR可部線(かべせん)」は、広島駅の二つ隣にある横川駅(よこがわえき)から分岐して広島市北部へ向かう路線。現在は広島市安佐北区・安佐南区から広島市中心部への輸送を担う路線ですが、当初の計画は県内に留まらず山陰の港町・浜田市とを繋ぐ路線として建設が進められた歴史があります。

可部線の沿革

「横川-可部」間は、沿線に広島市新市街地を抱えることから営業収益は悪くなかったけれど、非電化区間となる「可部-三段峡」は便数・乗客共に少なく、国鉄時代から何度も廃止が議論されてきましたが、

■廃止は原則として路線一括
■延伸計画

国鉄の路線廃止基準や延伸計画と言った恩恵があり、廃止を免れてきました。

しかしながら昭和55年(1980)に島根県浜田市とを結ぶ計画は中止。昭和62年(1987)4月に国鉄はJRとなったことで可部線の閑散区間のみを廃止することが可能となり、平成15年(2003)12月1日に「可部-三段峡」間が廃止になりました。今の時代に12月始めに廃止というのは珍しい感じですが(3月いっぱいが多い)、紅葉の名所である三段峡観光を終えてという点と、雪が降ると除雪費用が嵩むのでそのような点を勘案してのことと思われます。

可部線の歴史については、こちらの過去記事もご覧ください。

【可部線関連記事】
「安野駅」線路上をおさんぽできるかつての鉄道駅<安野花の駅公園/広島県安芸太田町>
「坪野駅近く」今や鉄道が走らなくなった国鉄20,000kmを訪ねる<国鉄2万キロ記念碑/広島県安芸太田町>

 

その後、可部駅より北に位置するエリアも広島市郊外として宅地開発が進み、かつての廃線区間に再び鉄道を走らせよう! という機運が高まります。

広島県・広島市・JR三者が協議を重ね、平成28年(2016)に一度は廃止になった「可部-河戸(こうど)」間に相当する区間が電化されて復活。一度廃止になった路線が13年後に復活したのは珍しいケースであり、JRとしては現在唯一の例。
復活に際して駅が二つ新設され、

可部-河戸帆待川(こうどほまちがわ)-あき亀山

となった。元々廃止になった区間にそれぞれ「河戸駅」「安芸亀山駅」がありましたが、どちらもその時と異なる場所に設置されたため、それらとは異なる駅名になっています。

旧安芸飯室駅前に発着する市街地直行バス

旧駅舎前にあるバス停の副称「飯室駅前」が、かつてこちらが鉄道駅だったことを表しています。

「広島センター」は「広島バスセンター」
かつて広島東洋カープが本拠地としていた「広島市民球場」と隣接する場所であり、原爆ドームのはす向かい。広島市の中心と言える場所です。

広島市は路線バスが非常に発達していて、こちらの場所のような山間部からでも市街地中心部に乗り換え無しで行くことができます。

かつて有人駅だった証

構内踏切の表示板に雪国式の信号機が現存

プラットホームは両側に入線可能な島式ホーム。単線である可部線廃線区間の中では、こちら「安芸飯室」と「加計(かけ)」が最後まで列車の行き違いが可能な駅でした。

一部残されているプラットホーム

線路の多くは取り払われ、プラットホームも駅舎前を残して大部分が解体されましたが、手前の旧1番線ホーム部分にはレールが残されています。

かつて存在した鉄道荷物制度

「小荷物(こにもつ)」とは、旅客列車に連結された荷物車で託送手荷物を運ぶ制度。

貨物…
昔は貨車、現在はコンテナに積載される大口の荷物。貨物ターミナルに届けられる。現行

小荷物…
駅が窓口となって委託する小口の荷物。便によって連結された荷物車で、荷物を目的地へ運ぶ。引き取りは行先の駅。昭和61年(1986)制度廃止。

手荷物…
乗客自身が携えて運ぶ荷物。手回り品とも。現行

イメージとしては、飛行機に搭乗する時に置き換えれば分かり易い。
預け荷物=小荷物
機内持ち込みに持つ=手荷物

「貨物」は一般人にはあまり縁がない制度で、「小荷物」は制度廃止。「手荷物」は今日適用されるものと言えばペットの同乗くらいなので、いずれも普通生活の中では目にすることが無い制度と言えます。

【手荷物関連記事】
「ことでん」旅犬ドギー、乗り鉄デビューはことちゃんと共演<ことでん/香川県高松市>
「JR四国」手回り品切符を購入してドギーと瀬戸大橋線乗車<快速マリンライナー/香川県・岡山県>

 

旧安芸飯室駅に残されているこちらの案内板は国鉄標準規則。

「3水に入れない魚介類」
とありますが、例えば活エビはおがくずの中に包んでおけば、水に浸けなくても半日くらいは生きています。匂いが漏れたり口が開いて飛び出さないようにしっかり梱包した上で、鉄道駅までの託送であれば制度上はOKだったのでしょうか。
けれど甲殻類は温度変化に弱いのでやがて死んでしまいます。クール便のサービスはありませんし。あったとしてもエビは温度を下げると死んでしまうので、食べることができるエビを鉄道の小荷物で届けるのは、どうやっても不可能だったと考えることができます。

 線路おさんぽできます

プラットホーム下からの視線が新鮮

JR西日本の駅名標、じゃなくて正確には「JR西日本規格を模した駅名標」。若干フォントや行間が異なります。あまり正確に作ってしまうと、著作権的に微妙なのかもしれません。

こちらの駅も旧安野駅(安野花の駅公園)と同じように「線路おさんぽ」が合法的に可能。普段線路上へ下りたり歩いたりすることはないので、線路上の目線に新鮮さを感じることができます。

 

romuiさん

地域交流の場に生まれ変わった旧安芸飯室駅

安芸飯室駅の駅舎は解体されることなく、カフェに生まれ変わりました。
訪れた時は曜日限定のカフェ営業で営業日に当たっていなかったのですが、日によっては各種ワークショップが行われるような、地域交流の場所になっているようです。

駅舎カフェromuiさん→https://www.facebook.com/Station.Cafe.Romui/

駅舎の裏にはあるピザ釜

ここで焼いたピザがカフェメニューとして提供されるようです。
先ほどの小荷物の取り扱いを知らせる看板の他、所々に鉄道駅を運営するにあたっての備品が混在していて、鉄道ファンとしてはそちらにも目が行きます。

列車を下りて構内踏切を渡り飯室の街へ

鉄道が廃止になった現在はその流れが存在しません。

営業されている状態で来ることができなかったので、店内の雰囲気やお料理の内容がわからないのですが、プラットホームや駅舎内で鉄道在りし日の懐かしさを感じながら過ごすことができる、素敵な場所であることは間違いなさそうです。

 

ROMUI(旧JR可部線安芸飯室駅舎)

旅の期間

平成29年9月


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